第三話 散歩してたら喧嘩することになった件(ほとんど主人公が悪い模様)

【田中視点】

散歩を始めて10分。俺はだいぶ落ち着いてきた。


いや、落ち着くを通り越して清々しい気分になっているというほうが正しいかもしれない。


うーん、やっぱり散歩は良いものだな。


同僚には散歩という名のランニングをする奴もいるが俺に取ってはバカな行為にしか見えない。


ランニングは体力もいるし、体力を切らさないように走る速度も考えなければならない。それに比べて散歩は体力もあまり使わないし歩く速度も考えなくて良い。


訓練ではともかく、日常生活では楽な方を使いたい。

そんなことはともかく、俺はどこまで散歩するかなどを決めていないことに気がついた。


(どこまで歩こうかな。)

俺がそんなことを思いながら歩いていると…。


(あれは…⁉︎)


目の前に自宅の斜め前に住んでいる雪ヶ丘晴奈とその友人たちがいた。


彼女らとは(特に雪ヶ丘以外の二人)正直会いたくなかった。


なぜなら彼女らはゴミ捨てなどで会うたびに会釈もせずに睨みつけてくるのだ。


雪ヶ丘晴奈だけは睨みつけながらも挨拶はしてくれたが。


ただでさえ仕事でストレスが溜まっているのに仕事外のところでもヘイトを向けられてストレスを溜めたくない。


だからこそ普段は彼女らが寝ているであろう深夜3時にわざわざ起きて散歩していたのだが…。


今日は予定外の散歩でそのせいで普段なら合わないはずの彼女らと会ってしまったのであろう。


なんとも運が悪い。


ここは適当に会釈して通り過ぎるか。


と、そんなことを思っていると雪ヶ丘が挨拶をしてきた。


晴奈「こんにちは。」


翔太「は⁉︎晴奈、なんでこんな奴に挨拶なんかしてんだよ!」


玲香「そうよ。挨拶なんてしなくていいわよ!」


晴奈「でも………挨拶は、するべきじゃん」


(やはりこうなるか………)


俺は変に関わりたくなかったので(雪ヶ丘には申し訳ないが)無視した。


すると……。


晴奈「あっ、ちょっと!えっと……

こ ん に ち は !!」


雪ヶ丘が大声で挨拶してきた。これで返事してしまうと絶位目立つ。


人が少ないとはいえいないわけではない。


俺は近所の人からの評価は良くないので目立つのは避けたい。


ということで、これも無視。


まあ、雪ヶ丘はこんなことでショックを受けたりはしないだろう…。多分。勘だが。


しかし、その勘は外れることになる。


晴奈「ウウ…グスッグスッ」


玲香「は、晴奈⁉︎どうしたの⁉︎」


晴奈は急に泣き出してしまった。


それを見て玲香は驚き晴奈を落ち着かせようとしている。


俺もびっくりした。やはり無視したのは良くなかったか…。


良心が痛んできた。


そして玲香が晴奈を落ち着かせている間あと一人の翔太はというと…。


翔太「て、てめぇ…!よくも俺たちの大事な友達の晴奈を泣かせやがったな!絶対に許さねぇ!!」

と激昂していた。


うん。やばい。


翔太はとても優しい性格らしいが、その一方でスポーツ万能でイケメンという高スペックである。


さらに翔太がいつも行っているスーパーで翔太がスーパーにいる女性たちにモテモテなことに嫉妬した非モテ男性たちと翔太の間で起こった翔太一人vs非モテ連合軍400人の戦いでまさかの翔太がボロ勝ちしたという。


つまり喧嘩も強いのだ。


それに比べて自分は五十代近くの老いぼれおっさん。


軍人とはいえ大分衰えてきている。


正直勝ち目はないと思う。


だが、ここで逃げるのは俺のプライドが拒否している。


だから、勝ち目がなくても戦うつもりだ。


俺は晴奈と翔太に声をかける。


「晴奈ちゃん、ごめん泣かせちゃって。また今度ジュース奢るよ。そして翔太。全力でかかってこい。捻り潰してやる。」


と、出来もしないことを堂々と言う。あと晴奈ちゃんへのフォローも欠かさずに。


おっ。あっちも拳を構えてきたか。


ではこちらも拳を構えなければならんな。


さあて、拳と拳の命懸けの勝負を始めるとするかぁ。楽しい試合ができるといいが…。


————————————————————

五月中に雪ヶ丘晴奈の邂逅編を終わらしたい…。あと十話以内には終わるけど今のスピードだと間に合わねぇ…。

まあ気長にお待ち頂ければ幸いです。


あとお試しの同時連載で

『上様はダンジョンに幕府を造られるようで』を書こうと思っています。もし良ければそちらもどうぞ。


あと本作の設定を投稿しようと思います。世界観などを紹介します。


以上です。読んでいただきありがとうございした。

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