第二話 悪評流されたら誰でもキレる…と思う

——次の日——


【田中仁太郎視点】


今日は休日だ。


正体を隠していないときは休日さえ気を休めることができなかった。


が、隠してからは休日だけでなく平日も比較的ゆっくり生活できるようになった。


そう考えると、リモートワークになってほんとよかったと思う。


休日の朝、俺はいつもより遅く起き朝ご飯を食べた。


朝ご飯はKtubeの”理想的な朝ご飯”というタイトルで投稿されてそうな動画によく出てきそうなラインナップだ。


コーヒー、目玉焼き、ベーコン、そしてパン。

普通に美味しい。まあ作るときの手間はかかるが。


だが、その手間も休日の朝ご飯の醍醐味だと思う。


……ちなみに全部インスタントだ。作る手間もクソもない。


まあそれは置いておいて


そんな朝ご飯を食べながらテレビを見ているとニュース番組の特番で目を疑うような内容をやっていた。


”陸軍情報局の恐ろしい真実…。若手配信者を次々に誘拐” という内容だ。


「なんだこの内容は…………」


俺は少し怒りそうになった。


俺は真面目に働いてるだけで、しかも配信者と関係することも配信へコメントにチェックと打っているだけである。


なぜそんなことしかしてないのに自分はヤバい奴だと全国に広められなければならない。


俺は佐須事務次官に*仕事用*のスマホで電話した。(ちなみにプライベート用スマホもある)


佐須「もしもし…。何の用だ?田中局長。」

電話をかけて少し経った頃佐須事務次官が電話に答えた。


俺は簡単に用件を説明する。


「こんにちは、佐須事務次官。用件ですが、各テレビ局のニュース番組を国防上の理由ということで規制をかけてくれませんか?」


佐須「…理由は?」


「今、各テレビ局のニュース番組の特番で私が配信者を誘拐しているというデマが真実のように語られています。それは間違いなので規制をかけてテロップでこの特番の内容は嘘だと言って全国の国民に勘違いしてもらわないようにして欲しいのです。」


佐須「君はいつもは真面目で賢いのに今日は誰よりも馬鹿になったようだ。そんなことをしたら逆に国が君を庇うために情報を隠そうとしていると見られるではないか」


「しかし…。」


佐須「焦るな。局長。君の正体がバレない以上君が誰かに攻撃されることはないし悪戯されることもない。人の噂も七十五日というだろう。こういうのは有名人なら誰でもあるのだから気にせずほっとくがよい。」


「………わかりました。」


佐須「では。これから仕事なので切るぞ。」


そうして電話は切られた。


佐須事務次官の言う通りだ。


何を焦っていたのか。


落ち着け、俺。

「そうだ。気分転換に散歩に行こう。今日は天気もいいし散歩日和だしな。」


パジャマから着替えジャージ姿になり靴を履き外へ出る。


(早く悪評が無くなるといいが….)


そんなことを思いながら。



【雨降晴/雪ヶ丘晴奈視点】


私は雪ヶ丘晴奈。


周りの人に内緒でVTuverをやっている。


朝、私はいつもよりも遅く起きる。


今日は配信の予定もないので昨日のことを考えつつゆっくり休むつもりだ。


朝ご飯を食べた後、いつものルーティンである散歩に出かける。


平日休日関係なく私は毎日朝ご飯のあとは散歩すると決めているのだ。


VTuverなので顔出しなどはしないとは言えちゃんと健康的な体は保とうと思っている。


散歩もその決意から毎日やっている運動の一つである。


暫く歩いていると家の横に住んでる隣人の

新山翔太と氷山玲香と出会った。


翔太「おー!晴奈じゃん!」


玲香「奇遇ね」


「そうだね。二人も散歩?」


玲香「そうそう。たまには体を動かさないと」


翔太「玲香最近太ってきたからなぁ」


玲香「………あんたとは暫く話さないわ」


翔太「はぁ⁉︎何でだよ!」


「はぁ……」


基本的には玲香と翔太は基本的には仲がいいんだけど翔太が無神経すぎて玲香はよく起こっている気がする。


もう少し気を使ったほうがいいと思うよ翔太。


翔太「ま、まあともかく一緒に散歩しないか?玲香、いいよな?」


玲香「……勝手にすれば?」


「私は別にいいけど」


翔太「じゃあ行こうぜ!!玲香もいいみたいだしな!」


玲香「…………」


玲香がまだ不機嫌なままだけど仕方ないか。

「じゃ、行こっか。」


そうして私たちは雑談しながら(玲香は黙っていた)散歩していると一人の男の人と会った。


翔太「ゲッ………」


玲香「最悪……」


「……」


あったのは私の家の斜め前に住んでいる田中仁太郎さん。


いつも家から出てこないのでニートという噂がある。


目つきが悪いため近所からはいつ暴れ出すか分からない無敵のニートと恐れられている。


あと無口のため気味悪がれている。


少し同情する。


しかし、挨拶をしないわけにはいかない。私は勇気を振り絞って声をかける。


「…こんにちは!」


翔太「晴奈⁉︎なんでこんな奴に挨拶してんだよ!」


玲香「そうよ。挨拶なんてしなくていいわよ!」


翔太と玲香がそんなことを言ってくる。でも外見が怖いだけで何もしてない人を嫌うことなんてできない。


それに私はどんな人にも挨拶をしようと小さい頃から心に決めていたから、田中さんだけ例外というわけにはいかない。


翔太と玲香の言葉を聞き流し、田中さんがなにか反応してないかなと田中さんの方を見ると………


田中「…………」スタスタ


えっ、無視?


私は困惑したが、もう一度声をかける。今度はもっと大きく

「こ ん に ち わ ! ! !」


田中「……………」スタスタ


「えっ……」

だが、それも無視されてしまった。

さすがにここまで無視されるとショックだった。


普段の私なら少しショックを受けるぐらいだっただろうが今日の私は昨日の配信での出来事で心がとても弱っていた。


私は泣き出してしまった。


田中さんが困惑した表情を浮かべている。そんな表情に少し腹が立った。


だから田中さんに襲いかかろうとしている翔太を応援することにした。


頑張って翔太。私の何の仇かは分からないけど取って!



————————————————————

今回はあんまストーリー進まなかったな…。最後とかめっちゃ雑だし。次回の最初は散歩の時の田中視点からです。いつ投稿するかはわかりません。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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