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 雨はみんなの顔を見る。

 東山くんは小さく微笑んでいて、瞳は「まあ、しょうがないよね」と雨に言う。森川くんは「天体観測ができなかったのは残念だけど、まあ、少しは流星も見れたからね。問題ないよ」と言う。

 それから雨は水瀬くんの顔を見る。

「ごめん。遠野さん」

 水瀬くんが心配そうな顔で雨に言う。

「ううん。こちらこそ、ごめんなさい」

 雨は言う。

 それから雨は下を向いた。

 そして、声もなく涙を流し始める。

「よしよし」

 そんな雨の体を愛が優しく抱きしめてくれた。

「……ごめんなさい」

 泣きながら、雨は言う。

「いいよ。気にしないで」

 愛は言う。

「……本当に、ごめんなさい」

 顔を両手で覆って、泣きながら雨は言う。

 それから車内は無言になって、エンジンの音だけが聞こえる中で、雨はなるべく、声を出さないように、小さく、小さく、泣き続けた。

「よしよし。泣かなくていいよ」

 そう言って、愛はずっと、静かな車内の中で、泣いている雨のことを慰めてくれていた。

 それから朝見先生は、まず最初に雨を遠野神社まで送ってくれた。

 二人で一緒に神社の横にある雨の家まで行って、迎えにきてくれた雨のお父さんと姉の雪に山での事情を話した。

「私がついていながら、本当にすみませんでした」

 朝見先生は二人に頭を下げて謝った。

「いえ、こちらこそ、迷惑をかけてすみませんでした」

 そう言って雨のお父さんと雪は朝見先生に頭を下げた。

 そんな様子を雨はじっと虚ろな目で観察していた。

「遠野さん。今夜は、ゆっくり休んでね。それから、大丈夫だとは思うけど、一応、明日は病院に行ってね」

「はい。いろいろとすみませんでした」

 雨がそう言うと、それから朝見先生はみんなのいる階段下の車のところまで戻って行った。

「なにやっているの」

 雨を見て、雪が言った。

「ごめん」

 雨はそう言うと、それからすぐに自分の部屋の中に戻った。

 そして急いでベットの中に潜り込んだ。

 一人になりたかった。

 そこで雨は自分が自然と眠りにつくまで、泣きながら、暗い、暗い夜の時間を過ごした。

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