26
それから雨がみんなと再会したのは、天体観測の日が五月の長期連中の中日であったこともあり、数日後のことだった。
その間、天気は崩れて、毎日雨ばかりが降っていた。
雨はずっとベットの中で横になりながら(朝見先生に言われたので、病院には行った。先生に報告もした。もちろん、体のどこも悪くはなかった)ぼんやりと毎日を過ごした。
雨は窓の外に降る自分と同じ名前の雨を見ながら、ずっとみんなのことや、……高校生になるころに、また引越しをしてしまうという、水瀬くんのこと、……それから、親友の浜辺愛のことを、ずっとずっと考えていた。
「おはよう。山の上の眠り姫」
お休み明けの学校の教室の中で、少し遅れてやってきた雨を見つけて、にっこりと笑って愛は言った。
雨は無言のまま自分の席に着席した。(謝ろうかと思っていたのに、茶化されてその機会を失ってしまったのだ)
「気分はどう?」
雨の席の隣にきて、愛は言う。
「なんともない」
雨は言う。
「あ、雨。体大丈夫なの?」
教室の中にやってきた瞳が、雨を見つけてそう言った。
「大丈夫。瞳。あの日は、本当にごめんなさい」
雨は瞳に謝った。
「別にいいよ。そういうこともあるよ。雨。昔から、よく貧血で倒れてたしね」
瞳はそう言って、雨の頭を撫でると、それから「じゃあ、またあとで」と言って、自分の席に移動した。
「本当に大丈夫?」
愛は言った。
「大丈夫。それと、ごめんなさい」
愛を見て、雨は言った。
「うん。別にいいよ」
そう言って愛は笑った。
それから雨は水瀬くんの席を見た。
そこには誰の姿もなかった。
どうやら今日は、水瀬くんはお休みのようだった。(水瀬くんは今日のように、ある日突然、学校をお休みすることが、これまでにも何度かあった)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます