夢月七海「人魚と内緒話」
・夢月七海「人魚と内緒話」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093081260204742
大分時間が空いてしまいましたが、自作の同題異話七月号の解説を行いたいと思います。
七月のタイトル解説の時点で、「人魚大好き!」ということは十分語っていたと思います。怖い人魚も、可愛い人魚も、セクシーな人魚も、色々書いていきましたが、「今回は可愛い系で行こう」とはタイトル確定時には決まっていました。
それでいて、人間とかなりフレンドリーな人魚です。まあ、フレンドリーじゃないと、内緒話なんてできませんからね。しかし、もう一歩踏み込んだ相手じゃないと、「内緒話」はできないだろうと考えて、恋のお話、ボーイ・ミーツ・ガール(見方によっては変化球)になりました。
さて、七月タイトル解説の話に戻りますと、アンデルセンの『人魚姫』もイメージとしてあるタイトルですが、この人魚姫は、足を手に入れるために、声を失ったんですよね。私だったら、「王子様とお近づきになりたいのに、声を失うなんてどういうことだ、不当契約だ」と魔女に詰め寄りたいですが、人魚姫はオッケーしちゃいます。このいじらしさがなんか好きです。
何かを手にするためには、何かを手放さないといけない、という等価交換は、私にとってしっくりくる哲学です。逆に、ランプの精みたいに、「なんでも三つも願い事叶えるよ!」と言われたら、「えー? ほんとにー?」と信じないほどです。だから、本作の人魚も、何かと引き換えに何かを失った後の状態で出てもらいました。
それから、本作の語り手であり主人公の「俺」こと「ユーキ」。彼については、タグでネタばらししていたつもりですが、一人称だったので、叙述トリックのような展開になってしまいました。思わぬ効果です。
ちなみにですが、ユーキがカタカナで名乗っているのは、漢字で書くと「優希」になるのが女の子っぽくて嫌だ、という裏話があります。もう一つ、ちなみに、美沙子のお父さんは、元人間で、喫茶店オーナーだった仙石さんのお母さんの兄にあたります。太平洋戦争中に、乗っていた戦艦が沈められたときに、美沙子のお母さんに助けられて……とかなんとか。裏話を書いたら止まりませんね。
「内緒話」には、相手の秘密を聞いて、自分の秘密も明かす、というニュアンスも込めました。一番好きな人と、砂浜から海を見ながら、お互いの秘密を打ち明け合う……そんな情景からスタートした物語でもあります。
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