夢月七海「いつまでも輝く母へ」


・夢月七海「いつまでも輝く母へ」

https://kakuyomu.jp/works/16818093077290855819


 久しぶりにことよ商店街を訪ねた女子大学生の「私」は、楽器店の二階の窓に残る、亡き母のピアノ教室の名残を見上げて、かつての日々を思い返す。ピアノの先生として、誰からも愛されていた母だったが、娘である「私」には、母に対する負い目があった。

 えー、自主企画参加作品を読み終えた後は、私自身の作品について語ろうかと思います。「あんまり興味がないよ!」って方は、読み飛ばしてください。まあ、章題の時点で察せられると思いますが。


 二〇二四年度同題異話参加作品は、「ことよ商店街」という場所を舞台にしようと決めてからの二作目です。四月の『真新しい靴がステップ』では、ことよ商店街の全貌についてざっくり書きましたが、ここからはそこにかかわる一人一人にフォーカスしようと思います。

 五月号の主人公、安曇野あずみの奏は、『真新しい靴がステップ』では、楽器店の前でキーボードを弾いていた女子高生です。作中の時間軸的には、「真新しい靴のステップ」の二年後が「いつまでも輝く母へ」です。


 結構ややこしい構成ですね。まあ、『真新しい靴がステップ』の時点で、「上」と「下」の間で八年が経過していますが。こんな風に、同題異話参加作では、時間軸を行ったり来たりしていると思います。

 イメージ的には、『アイネクライネナハトムジーク』……ですが、あっちは、時間が戻ったりはしなかったと思うので、多分、『横道世之介』かもしれません。……最近、伊坂さんと吉田さんに凝っているのです。


 さて、本作のテーマは、「母に負い目を感じている娘」です。同じテーマで、別の話を二作ほど書いているので、私の中では、追及したいものなのでしょう。念のために言っておきますが、私と母の関係はとても良好です。

 愛憎の混じった母への感情……なぜか、ドロドロした恋愛よりも、こちらの方を書いてみたいと思ってしまいます。五月のタイトル解説で、「タイトルの後に、感謝の意も恨み言でも続けられるようにした」と書いたのですが、こちらは恨み言寄りのお話になりました。それがどんな着地点になるのかは、読んでいただければ。


 あともう一つ。本作のキーパーソンとして、郵便局の局長さんがいます。彼の初登場も、『真新しい靴がステップ』なのですが、実のところ、うちの子としては昔から頭の中にいました。こうして、小説内で登場して動いたり喋ったりしたのは初めてで、その際に「とんでもない運動音痴」という設定が加わりました。やったね!

 こちらは、一話で完結していますが、奏の物語は、また別の形で書きたいと思っています。このまま順調に、同題異話が続けば、という前提がありますが。そうなるように、私もこれからコツコツと、読んだり書いたりしていきたいです。


















 

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