錦魚葉椿「いつまでも輝く母へ」
・錦魚葉椿「いつまでも輝く母へ」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093077955947889
とある商会の執務室に置かれた、何とも奇妙な贈り物。ネルはそれを眺めながら、贈り主に思いを馳せる。巨大な商会の栄光から没落、そして再起までを、一人の従業員の目線から描いた異世界もの。
錦魚さんは、二〇二一年度の同題異話から引き続いて参加してくださっています。今年度四月の参加作「真新しい靴がステップ」は、次元の間がなくなってしまい、人間や人外たちが共存する世界になってしまった後の、とある高校の入学式が描かれていました。
前作は定まった主人公はいない、群像劇のようなお話でしたが、今回は「ネル」という男性の目線で描かれています。彼の経歴をひも解くことで、「女傑」である一人の女性の実像も浮かび上がってきます。
端的ながらも、彼女がどれほどハチャメチャだったのかがよく分かります。こんな上司に振り回されるネルたちに同情しつつ、どうしてもあらがえない魅力があるのも伝わりました。
「環境が人を作る」とはよく言いますが、それは幼少期や思春期に限らないのでしょう。誰に仕えるのか、というのも大事ですが、この人を自分で選んだ、という自負もまた重要なのかもしれません。
実のところ、「母」という単語は、本編に出ていないようです。しかし、今の自分を導いてくれた「母」への愛情や官舎は、確かに感じ取れました。
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