榎木扇海「いつまでも輝く母へ」
・榎木扇海「いつまでも輝く母へ」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093078069674189
「私」が語る、実の母親との関係。「私」の母は、美しくて人気のあるモデルだったが、家庭を全く顧みない人だった。歪んでしまった親子関係を通して、人間の惨たらしさと優しさを描いた現代ドラマ。
榎木さんは四月の「真新しい靴がステップ」に引き続いての参加です。こちらも女性が主人公の現代ドラマでしたが、テイストは全く違っていて、驚きました。
「いつまでも輝く母へ」ですが、非常にリーダビリティが高いです。さらさらと読み進めてしまいます。しかし、一文一文に重みがあって、気づけば流されていますが、作中では結構な時間が経っています。
そうして、導かれたラスト一文に、ドカンとやられました。正直、現在もノックアウトしているような気持ちです。創作している身からすると、この一文にものすごく神経を使っているんだろうなと想像しますが、まあ、そんなこと考えなくても、かなりすごい一文です。
このラスト一文以外ですと、母親に対して「美しい」という言葉が多用されているのが気になりました。表現を変えて、何度も登場しますが、それは母親の外見に対する言及に留まります。……ここだけで、母親の性格が何となく察しられるかもしれません。
美女にもいろいろな種類がありますが、存在するだけで周りを狂わせていく、魔性の女というイメージをこの母親に抱きました。そして、輝きにも種類があります。人を導いたり照らしたりする輝きもありますが、この母親の光は、周囲の醜さを露呈させている……というように感じられて、非常にゾッとしました。
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