大月クマ「真新しい靴がステップ~灰色の習作~」
・大月クマ「真新しい靴がステップ~灰色の習作~」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093076414662666
とある町に滞在中の男・スミスは、偶然観劇したこけら落とし公演で、「ステップが違う」という盲目の支配人の一言を耳にする。その数日後、支配人が亡くなったという新聞記事が出た。ファンタジー世界で起きた不審死を、一人の男が興味本位で調べていく短編ミステリー。
大月さんは、二〇二一年度の同題異話の四月号から参加してくれました。異種族の存在が当たり前の世界で、魔女の先輩と知り合いになってしまった吸血鬼族の高校一年生が、周囲の異種族の女の子たちに振り回される連作シリーズでした。ラブになり切れないコメディで楽しませていただきましたね。
対して今作は、とても真面目なミステリーです。剣と魔法の世界でミステリーを、という作者さん自体は試行錯誤中の連作の一つです。そのような実験作でも大賛成です。そもそも、この企画自体が実験場みたいなところもあるので。
魔法のある世界のようですが、「魔法があれば何でもありじゃないか」というミステリーの禁じ手を自ら封じているように感じます。作中に出てくるワードや状況などで、読んでいる側も真相を推理できるという、とても真摯な作りとなっています。
主人公のスミスははっきりと明言されていないのですが、スパイのような立ち位置にいる人のようです。ですので、警察や探偵のように、堂々と事件関係者に対する事情聴取をできないので、自分の抱いた違和感や間接的に得た情報から真相を推理していきます。一種の安楽椅子探偵ですが、この設定が興味深かったです。
彼の周囲の人たちも、個性が強そうで気になりました。特に、今回協力してくれた新聞記者のオレンジ女史も、もしもシリーズとして続くのなら、再登場を期待したくなるほど気になる人物でした。
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