第二話
家に帰ってきた。昨日は騒がしかったので一人だと静かすぎて違和感がある。大学の課題を終わらせてお昼ご飯を食べようと冷蔵庫を開けたら何もなかったので買い物に行く。出かける前に作ったメモ通りに買い物を済ませ、コンビニでおにぎりを2個買って帰った。おにぎりを食べた後は動画の編集作業に移った。配信の見どころをまとめて忙しくて配信を見れない人用だ。いいパソコンを陽からもらったので編集作業がサクサク進んだ。自分のパソコンだとスペックが足りないため何度か編集の途中で落ちてしまうことがあったが、このパソコンになってからは一度もない。何とか夜ご飯の前に編集が終わったので保存してアップロードをする。そのあとはご飯を作って食べてお風呂に入って寝た。
次の配信は私の誕生日配信になった。4月20日が私の誕生日でその日が土曜日だったため、そこでやることにしたらしい。普段は企画と司会を交代でやるが今回は両方陽がやってくれるようで何をしてくれるのか楽しみだ。
私の誕生日になった。
「はいみなさんこんばんは!ひるよるラジオ特別編!今日はよるちゃんの誕生日だよ!」
・よるちゃんお誕生日おめでとう!
・おめでとうございます!
・この日のために貯金してきた。行け¥50000
・えぐ
・やば上限じゃん。
投げ銭と呼ばれるお金を配信者に投げて応援できるシステムがこの配信サイトにはあり、50000は一日に渡せる最高金額だ。
「ありがとうございます!お名前は別の配信でお読みしますね!」と陽が言う。
配信者には投げ銭してくれた人のユーザーネームを呼ぶ文化があるが今日は記念枠なので別の配信でやるらしい。
「じゃあ今日は誕生日ってことで、まずは視聴者さんからのメッセージやイラストが届いてるから見ていこう!」
・あ、いまのメッセージ俺のだ
・イラストえっぐい上手いな
・あれ今のイラストあのイラストレーターさんのじゃない?
#よるの誕生祭 で集められたメッセージやイラストを陽が画面上に映していく。こんなに多くの人に祝われたことはないのでとっても嬉しくて言葉が出なかった。一般の視聴者さんだけでなくアニメ化もしている小説のイラストレーターさんのイラストが届いていたり、配信サイト内で絶大な人気を誇る配信者の方からもお祝いのメッセージが来てた。私は感極まって泣いてしまった。
「次に行くよ!準備はいい?」
「ちょっと待って、タオル頂戴」
・よるちゃん泣いてる?
・喜んでもらえてよかった
・本当におめでとう!!
「じゃあ次だね!次は私に願い事を言ってね。3つだけ願いをかなえてやろう。」
・どこの神龍だよ
・wwww
・なにお願いするんだろ
「お願いぃ?思いつかないよ」
「ゆっくり考えてね。」
「じゃあ1個目。これからもずっと一緒にいてね」
・公開告白きたあああ
・よるちゃんがデレた.....
「2個目。また髪の毛洗って。」
・え、それだけ?
・いやまてこれは一緒に風呂に入ったってことか?
・しかもよるちゃんからのお誘い???
「3つ目。この家に住まわせて。」3つ全部言い切ってからはっとした。これでは告白じゃないか。住まわせてって同棲を申し込んだみたいじゃん。訂正しようと口を開けようとしたら、陽が抱き着いてきた。
「ちょっとひな、はなれて...くるしい。」
「だってよるちゃんがデレるんだもんー!!!」
そのまま1分くらい陽に抱き着かれて、何とか抜け出した。陽も落ち着いて、
「取り乱しちゃったごめんなさい!これにてよるちゃんのお誕生日配信は終わります!
メッセージをくれた方、イラストを提供してくださった方、本当にありがとうございました!。」
「私からもいい?今日は私のために本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。。メッセージはこれから一つ一つ読ませてもらいます。重ねてですが本当にありがとうございました」
コメント欄を見るととんでもないスピードでコメントが流れていっている。
「来てくださりありがとうございました!」
と言って配信を止める。
振り向くと陽が椅子の上に正座してた。
「どうしたの陽。」
「ほんとに言ってるの?一緒に住むって。」
「うん。でもだめだったらだめでもいいよ。」
「嫌なわけないじゃん!」
「じゃあいいの?」
「うん、じゃあベッドも買う?」
「同じベッドがいいかな。」
「ほんと?」
「ほんと。じゃあご飯たべよっか。せっかくだしどこか食べ行く?」
「あっ、レストラン予約してる。着替えて行こ。」
そう連れられてレストランについた。私が入るには敷居が高い気がしたけどお店に入るとウェイトレスさんが温かく迎えてくれた。
コース料理を食べ終えてお皿が下げられたので帰るのかなと思っていると、店の電気が消えた。
びっくりして周りを見るとろうそくが遠くに見える。それが近づいてくるのと同時にアナウンスが入った。
「本日は夜咲 詩乃様のお誕生日です。ぜひ皆さま大きな拍手を。」
私が驚いていると周りから大きな拍手が沸き上がった。
「では詩乃様、ろうそくを消してください。」
運ばれてきたケーキの上に刺さったろうそくを消すと、電気がついた。
拍手が収まったので「ありがとうございます」と感謝を言うと一段と大きい拍手が沸き上がった。
ケーキは絶品で今まで食べてきたケーキの中で一番おいしかった。会計はすでに済ませていたので、店を出るときにもう一度ありがとうございましたと言い、陽と並んで外に出た。
「ありがとう陽、人生で一番幸せな誕生日だった。」
「どういたしまして、これからもよろしくね」
私たちは手をつないで私たちの家へ帰った。
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