第7話 崩れる
喫茶店の中に入り奥の席を見ると、そこには誰も座ってはいなかった。
「いらっしゃいませ」
その声に対してカウンターの方を見ると、そこには
「お待たせしちゃいましたか?」
約束の時間に対して10分早い12時50分の到着だったけど、
「私はいつもここにいるから……、むしろこっちまで来てくれてありがとう」
そう言う
そうして出来上がったコーヒーが私の前に出された後、
「サイフォンでコーヒー作るのっていいよね」
と口を開いた。
「私これが好きでね。最初は撹拌しすぎちゃって、最後に綺麗な泡が残らないんだけど、それがうまくいったとき嬉しくてね」
「
「うん、小さい頃かよく見てたからね」
「親が好きだったんですか?」
「父親がね、ほらそこにいる」
そうやって視線を向けた先には
再度
考えたら会って二日目の相手に父親を紹介されてしまったわけだけど、
そもそも根拠の無い
「さて、それじゃ本題に入ろうか」
そんな風に
「もったいぶらずに聞くね。谷村って名前に聞き覚えはある?」
「谷村……」
口に出した瞬間、その名前に強く馴染みがあることを感じる。そうだ、これは……。
「
すっと言葉が出てきて、自分の中でその名前を確信できる。
「やっぱり、ゆきって子の苗字だったんだね」
「
「昨日ちょっとね……」
そういって
「
「
「はい。夢だからその……全然関係ないかもしれないけど、私はそうは思えなくて」
「いったいどんな夢だったの?」
「
そうだ。夢の中で
捜索願が投稿されたのが9月10日の月曜日。
考えがまとまらず言葉の止まった私の代わりに、
「
「それってどういうことですか?」
「思い出せる記憶ってのは失くした
「
「8月は
そこまで口に出して違和感を覚えた。そしてそれはすぐに確信に変わった。
違う。これは
「なんで私は
瞬間、私の中で何かが崩れる音がした。
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