第3話 信じる
段々と雲行きが怪しくなってきて、雨が降る前の独特の生暖かさを感じる。予報では午後8時頃から雨が降る予定だったから、私は傘を持ってきていない。けれど、あと1時間もしないうちに降り出しそうな空模様だった。
6時までここにいて何かわかるのだろうか。この公園は私が
ふと
思えば私は
「あの……」
聞きたいこともまとまらないまま、私は
「えっと、
警察だって、両親だって、私の話を信じてくれなかった。なんの関係も無い赤の他人がこんな話を信じてくれるなんて、普通じゃありえない。けれど
「だって嘘をついてないこと、私は眼を見ればわかるから」
その言葉に、私は喫茶店での会話を思い出す。
「あなたは心から
そう語る
「それに……」
何かを言いかけて、
「
「……自立したらだと思います。私ってば、高校生なのに親に頼ってばっかで……」
小さい頃は人は自然と大人になるって思っていた。小学生のときは中学生が大人に見えて、中学生のときは高校生がすごく大人に見えた。けど実際に高校生になって、そうじゃ無いことに気がつく。
中学生から高校生になったって、急に何かが変わるわけじゃない。それはきっと大学生になったときも、社会人になったときもそうだろう。だから私は自立という言葉を選んだ。少なくとも一人で生きていけるようになれば、それはきっと大人と言えると思って。
「高校生なんてそんなもんだよ。どうしたってお金の問題があるしね。でも
私は
「少なくとも、私はまだ子供のままなんだって思ってる」
と、曖昧に答えた。
「私から見れば
と私は思ったことを口にする。それに対して
公園に設置されたいくつかの外灯は、気づかないうちに静かに私たちのいる場所を照らしている。その横に建てられた時計を見ると、時刻はもうすぐ午後6時を迎えるところだった。
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