第2話 神隠し
外は少し曇っていた。天気予報では夜には雨が降るらしい。今はまだ午後4時半だから、早めに帰れば降られることはないだろう。
私は
「
「えっと……確か6時頃だったと思います。雨が降ってきたのがそのくらいの時間だったんで」
「じゃあ6時までここで待とうか」
そういうや否や、
「何を読んでいるんですか?」
「これは各地の古い伝承が書かれた本でね」
「今読んでるのは神隠しについて。
「……
「そうかもしれない。だけど可能性は低いよ。神隠しなんてのは迷子や誘拐の理由付けにすぎないからね」
「でも今回のケースは神隠しとしてはちょっと変なんだ。それが何かわかる?」
「……いえ」
「それはみんなの記憶から
「確かに……そうですね。そしたら私だけ記憶が戻ったのって……」
「もしこれが神隠しだったら、あなたに伝承してもらうため……なんて考えることもできるわね」
そのまま
神隠し。もしそうだとしたら、
自分の記憶すら頼りない現状で、私はぼーっと街を眺める。忘れているのは
あれ?そういえば私、なんであの日この公園にいたんだろう。学校帰りに寄ったんだっけ?この公園ってちょっと遠いから普段は来ないはずなのに。
たった2週間前のことが思い出せない。それも大事な日のこと。明らかになにかを忘れている。ただそれが何かは全く思い出せない。焦りと不安が募る中、時間は刻一刻と6時に近づいていた。
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