第二十七話 罠の対処は少し斬新

「案外何とかなる物なんだけど……連戦続きだなっ!」


「2人ですと、必然的に1人あたりの必要討伐数が増えてしまいますからね。仕方ありません。まあ、背中を預けられるような方としか、こんな所では組めないんすけどね……私は。【氷の矢よ、穿て穿て】!」


 ”主天使の間”を出て、”能天使の間”へと向かう俺たちは、道中で幾度となく戦闘を行った。

 ダンジョン探索は、前衛後衛荷物持ち等に役割分担をして攻略するのが基本的であり、大体4~6人が主流だ。

 それが少なすぎず、多すぎずの、丁度良い人数。

 それらを2人で補うとなると、当然1人のやる事が多くなってしまう為、このように負担が大きくなる。

 でも、新しい人を入れたら負担軽くなって、強くなれなくなりそうなんだよなぁ……

 とにかく俺は、Sランク冒険者になりたいんだ。

 何としてでも……ね。


「……ふぅ。これで終わりか。魔石も無し……先へ進もうか」


「そうですね。行きましょう」


 討伐を終えた俺は、先へと向かうべく1歩足を前に出した。

 ――次の瞬間。


 カチッ


 地面が少し沈むような感覚と同時に、足元から音が鳴った。

 やべっ――と思った次の瞬間。


 ガシャン!!!


 地面が左右に割れ、俺は息を呑むと同時に浮遊感を感じた。

 そして、そのまま下へと落下する。


「【血よ、伸びよ】!」


 刹那、俺は即座に右腕を上へ掲げると、血の触腕を伸ばした。

 ……あ、これ間に合わないやつじゃね?

 俺の魔法――《血殺武具デストブラッド》の弱点たる動きの鈍さが、仇となったか。


「あっ」


 ふと下を見れば、そこには無数の刃が連なっており、落ちてきた者を串刺しにせんとしている。

 でまあ、当然避ける事も出来ず……


 グサグサグサッ!


 俺は、全身を刃で貫かれてしまった。

 肉体改造してても、流石に強化魔法を施していなければ、こんなもんか。

 そう思いながら、俺はよっこらせと起き上がった。

 そして、一瞬で塞がって行く傷口を横目に、上を見上げる。


「リヒトさーん! 大丈夫ですかー?」


 すると、そこには淵から穴底を見下ろすシャリアの姿があった。

 俺は血の触腕を使い、完全に刃から抜け出すと、口を開く。


「ああ! 服が所々破けちゃった事以外は、大丈夫だ―! 一応、中に着ているシャツだけに穴が空く様に努力したから、問題は無さそうだ!」


「穴に落ちて、真っ先に心配する事が服ですか……まあ、なら大丈夫そうですね。それで、上がって来れますかー?」


「ああ! 今上がるー!!」


 どこか微妙そうな顔をしながら言うシャリアの言葉に、俺はそう返事をすると、血の触腕を10メートル上にある通路の天井に伸ばして引っ付けた後、引き寄せる事で上に上がって見せた。


「ふぅ……元から罠は最悪こうするつもりだったとは言え、これ一々引っかかってたらキリが無いなぁ」


「今回は、《血殺武具デストブラッド》の発動が遅れてしまった事が原因ですから……次からは、いつでも発動できるようにしておいた方がいいですね」


「だな。少し消耗するけど、上がる時の消耗とか考えたら、そっちの方がいいか」


 俺はシャリアの案を採用すると、両掌に血の塊を薄く展開させた。

 これで即座に、使う事が出来る。


「それじゃあ、行こうか」


「はい。行きましょう」


 そうして、罠を何とか対処(?)できた俺たちは、引き続き探索を進めるのであった。


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区切りの都合で、短いです。すみません。(*- -)(*_ _)ペコリ

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