沈丁花禄郎でございます!

のっぴきならない男

第7話

episde7 「涙の婚活パーティー」完結篇


婚活パーティーの会場


沈丁花と絵梨奈は意味不明な舌戦を繰り広げていた。


そこへ

「沈丁花さんでしたよね?私、秋沢里香です」と30歳くらいのスタイルの良い

モデルのような美人が話しかけてきた。

沈丁花「男性陣からすごい人気の人ただ!ああ、サラダバーならあそこにありますよ」

と沈丁花は秋沢里香にサラダバーを指差して教えた。


秋沢「違うんです。沈丁花さんとお話がしたくて」

沈丁花「ああ、え?おいらと?」と鼻の下が完全に伸びきっていた。


沈丁花は耳元で

「絵梨奈?ザマーミロ、このお子様がぁ」と耳打ちした。

絵梨奈は「良かったですね。目がバッキバキになってますよ。さっきまでとは違ってね」とアイロニー混じりにささやいた。


絵梨奈も

「いつもの、小遊三師匠は楽屋泥棒で生計をたてているだの、大橋巨泉は石坂       浩二をへいちゃと呼ぶんだだの、意味不明な役に立たちそうもないうんちくとかはNGですから、そこら辺気をつけてくださいね」とささやき返した。


秋沢「森絵梨奈さんごめんなさい。沈丁花さんと二人でお話しさせてもらっていいかしら?」

絵梨奈「もちろん!まっっったく問題ありませんよ!」とニンマリと笑った。


沈丁花「秋沢さん、ささ、行きましょう」とエスコートに挑もうとしていた。


沈丁花「絵梨奈!じゃあね、そっと手を振って、じゃあね、ダメよ泣いたりしちゃあ」と早くも絶好調モードに突入していた。


広い会場の遠くの方で沈丁花と秋沢里香はしっぽりと談笑していたのだった。


それを遠くから絵梨奈は様子を見ていた。


それと同時に、男性一番人気の西園寺について2番人気の男性の輪のなかでゴスロリの

格好をしたライママが、両手をグーにして、両方のグーの手を顎に乗せながら、涙ぐんでいた。

その後ろにドライアイ治療目薬のあき容器とセブンスターの空き箱が落ちていた。

時折、ノートにボールペンと赤ペンを取り出し、何やらメモっていた。


その一部始終をみていた絵梨奈の頭の中に哀しい音楽が流れ、少しの哀愁を感じた。


筆記用具を持参していたのは大勢の参加者の中で、ライママただひとりだった。


後日 お見合い家庭訪問が行われた。お目当ての男性陣の自宅に女性陣が訪問するというものだった。


絵梨奈、真美、その友達ほか大勢の女性参加者が西園寺邸に訪れていた。

西園寺はあんまり過剰な豪華な食べ物や飲み物を用意したり、過剰な演出はやめて欲しいと申し出たのだが、父親が「きちんおもてなししなさい」との指令で様々な豪華な料理と飲み物が振る舞われた。

西園寺邸は非常に盛り上がっていた。


絵梨奈は西園寺に「ちょっと散歩してきます」と告げた。


西園寺「沈丁花さんのところですか?」

絵梨奈「そんなバカな」と笑った。


絵梨奈は、沈丁花の家のアパート『満月荘』に着いて、音を立てないように、そっとドアを開けてみた。


そこには、猫と片寄あって、テレビをている沈丁花と猫の姿があった。


部屋の壁には折り紙で作った大量の花ががざられていた。

ポスター風な白い大きな紙には『押しあわないでください!みな平等に対応します!」というカラフルな文字が踊っていた。

特上寿司や大吟醸なども大量に用意されていた。


絵梨奈は静かにそこを立ち去った。


絵梨奈は笑いが止まらなかった。


次の日、絵梨奈は、沈丁花が一人でマクドナルドでチキンナゲットを食べていたので店に入り、話しかけた。


絵梨奈「昨日はどうでした?」

沈丁花「まあまあかな」

絵梨奈「そうでしたか」

絵梨奈「そういえば、例の美人の秋沢さんとはどうなりました?」

沈丁花「彼女、お父さんが難しい病気で故郷にかえらないといけないみたいでさ」


絵梨奈「えーと、まさかお金とかは渡しませんでしたよね?」

沈丁花「ああ、まあ700万ほどだけ度渡したよ」

絵梨奈「……」


絵梨奈「沈丁花さん前に、いつかお金貯めて自分のラーメン専門店を出すのが夢だって」

絵梨奈「今から警察行きましょう」

沈丁花「行かないよ。信じるさ。惚れたひとだからな。そんなことよりお前ナゲットはマスタードソース一択じゃねーの?」

絵梨奈「……」


数日後、町に『NHK のど自慢』がやってきた。


沈丁花は見事予選を通過して本戦に出場したのだった。


本番当日、沈丁花の応援に町の人たちが応援に駆けつけた。


本番が始まった。沈丁花応援の横断幕や応援ボードが沈丁花の目に入った。


アナウンサー「今日はどちらからお越しで?」

沈丁花「朝日町です!」


アナウンサー「今日は何を歌いましょう?」

沈丁花「少年隊で仮面ライダー!!を歌います!」

アナウンサー苦笑

沈丁花「すいません、カナディアンジョークですよ笑」


沈丁花の『HANABI』の熱唱で見事合格し、奇跡のチャンピオンとなった。


会場が熱気で揺れた。


みんなはしゃいでいでいるなか、絵梨奈は「わたし、ちょっと行ってくる」と言った。


アナウンサー「沈丁花さん、おめでとうございます!最後にカメラに一言どうぞ!」


沈丁花「ここにいる。ここにいる人みんな元気ダァーー!!何も心配することあらへんのや!!」と拳を振り上げた。そして手でハートマークを作った。


後日、NHKに苦情の電話とメールが殺到したのだった。その苦情の中にはライママの名前もあった。優勝はあんな奴じゃなくイケメン会社員だった!と言うものだった。



数日後、、、



寿司屋にお釣りをかえしてくれと頭を下げる男がいた。


それを見ていた

掟カローラ「あいつは本当に人間のクズだな」

絵梨奈は笑顔を取り戻していた。


終わり


 episde9へつづく

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