第2話 肩の荷が降りた
「あー。なんか肩の荷が下りた感じがするな」
ベットから起き上がり、俺は朝の身支度をする。あいつを待つ為に早く家を出なくて良いからゆっくり寝れる。
「さて、学校に行くか」
いつもの通学路だがなんだか新鮮だ。いつもと違った感覚で少しだけワクワクする。
「ふーんふんふふーん♪」
俺は鼻歌を歌いながら歩く。後ろから肩をつつかれる。
「よ、ご機嫌だな! メール見たぜ!」
「おー、裕司か。まぁな、なんだか楽になった」
「そりゃあ良かった」
しばらく裕司と話していると、学校についた。その近くには女子生徒と手を繋いでいた桃華がいた。
「じゃあみんなで今日カラオケ行くか!」
「お、良いねぇ。慶太は行けると思うけど瑞波は分からんから聞いてみるか」
そして俺たちは話しながら桃華たちの横を通り過ぎた。一瞬あいつが俺を見てきたが俺は見向きもしなかった。
もう俺とあいつにはなんの接点もない。赤の他人だ。
「ウェーイ」
「おう、おはよう2人とも。昨日のメール見たぞ。やっとだな」
「ほんとだよ。よく半年も持ったな」
俺と裕司が教室に入ると慶太と瑞波が話しかけてくる。
「それなんだが、今日みんなでカラオケ行かないか?」
「今日? 俺は空いてるけど。瑞波は?」
「俺も今日は何もないな」
「良し! じゃあ今日はみんなで哲也を慰めようの会だ!」
2人も予定がなく、今日カラオケに行くことが決まった。うっしゃあ!今日は喉が枯れるまだ歌うぜ!
「お前ら、ちゃんと俺を励ましてくれよ!」
「いや、お前さっきまで肩の荷が降りたとか言って上機嫌だったじゃねーか!」
そして今日の授業が終わり、俺たちはカラオケに向かおうとするが、俺はトイレに行くので先に校門前で待ってもらうことにした。
「ふぅ、スッキリした。さてと、早く行かないと瑞波に怒られるな」
「ねぇ」
「ん?」
トイレから出て荷物を持って下駄箱に向かうと桃華が待っていた。こんなことは今までなかったから不思議だ。
「昨日の話なんだけど」
「昨日? あー、もう俺から話すことは何もないよ」
「本当に良いんだね?」
そんなことを聞くために残ってたのか? いつもと違う行動をする桃華に俺は少し戸惑う。
「あぁ、もう未練も執着もないから安心してくれ」
「ッ……そうなんだ」
「俺はこれから友達と遊ぶから。じゃあね不知火さん」
俺は靴を取り出して校門前に向かう。すると3人が待っててくれた。
「おい! 遅いぞ!」
「悪いな」
「まぁ、揃ったし行くか」
「よーし! 歌うぞー!」
俺たちは4人揃ってカラオケに向かった。
「♪〜♪」
俺は失恋ソングを歌う。他の奴らもいろんな歌を歌っていく。
「ふぅ、歌ったなぁ。あれ?」
「だからぁ! 俺は男だし今日は友達と遊びに来てんの!」
「え〜? 良いじゃんちょっと連絡先教えてくれるだけで良いからさ!」
俺は飲み物を取りに行こうとすると、瑞波が男の人にナンパをされていた。瑞波は顔だけ見ると美少女なので間違われることがよくあるのだ。
「ったく、しょうがないな」
俺は制服を着崩して髪をかき上げて瑞波の所へ行く。
「おーい! 何やってんだよ」
「え? 哲也?」
「悪いな。こいつ、俺のなんで」
「……ッチ」
俺は瑞波の肩を掴み自分の方へ引き寄せる。すると男は忌々しそうに舌打ちをして去っていく。
「ふぅ、行ってくれたな」
「セイ!」
「ぐはっ!?」
俺が一息着くと瑞波の強烈な正拳突きが腹に突き刺さる。いいパンチだ。
「だ、誰がお前のだ!」
「いや、ごめん。1回あーゆうチャラくて悪い男みたいなのやりたくて」
「はぁ、でもありがとう」
「おう。どういたしまして」
そして俺たちはまた部屋に戻り歌い始める。
「あー、歌った」
「楽しかったなぁ」
「3人ともゴチになります!!」
俺は3人に頭を90度下げる。
「今日の主役だからな。良い気分転換になったか?」
「おう! すげー楽しかった」
「まぁ、仕方ないか」
「じゃあ次回は慶太の家でお泊まりでもするか」
「お、良いね!」
そんな会話をしながら会計を進めて行く。やっぱり友達と来るカラオケは良いな。
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