第3話 休日
「あー、昨日は楽しかったな」
今日は休みだから俺はゴロゴロしてる。休みの日に呼び出されて荷物持ちをして、あいつと他の女子がイチャイチャするとこを見ることもない。
最高だ。
「そうだなぁ。…そうだ! 慶太たちと映画でも見に行くか!」
俺はみんなに連絡を入れる。しばらくするとみんなからの連絡が入ってくる。
『ごめん。今日は妹と買い物に行くんだ』
『悪い。俺も今日はやることがあるんだ』
『俺は行けるぞ』
「おー。瑞波は行けるのか」
どうやら残りの2人は来れないらしい。なら2人で行くか。
『じゃあ。駅前に昼頃に集合しようぜ』
『分かった』
こうして今日ののスケジュールが決まったので、なんの映画を観るか考えながら、支度をする。
「お! いたいた」
「だからぁ! 俺は男だって言ってるだろ!」
「あいつ。また絡まれてんのか」
俺が駅前に行くとジーパンと半袖の女がナンパされていた。その女は瑞波である。またいつものように絡まれていた。今度は2人組の男に絡まれていたので助ける方法を考える。
あいつ、もう女として生きてけるんじゃないか?
「おー、瑞波。待ったか?」
「遅いぞ! 哲也!」
「…俺の彼女に何か用ですか?」
俺は間に割って入り笑顔で男たちに問いかける。
「なんだよ。男いんのかよ」
「…行くか」
そして2人はどこかに行ってくれた。
「だから、俺はお前の彼女じゃねーよ!」
「まぁ、良いじゃん。お互い男同士なんだから困らないだろ?」
「そう言う問題じゃねーよ!」
「良し。じゃあ気を取り直して行くか」
「人の話を聞け!」
「ぐふっ!?」
瑞波の正拳突きが俺の腹にめり込む。こいつって空手とかやってたか? フォームすごい綺麗なんですけど。
「さて、瑞波はどれが見たい?」
「うーん。俺はこれが見たいかな」
俺たちは映画館に行き、誰が観たいかを決める。瑞波が選んだのは恋愛映画だった。
「へぇ。瑞波も恋愛映画とか見るんだな」
「わ、悪いかよ!」
「いーや? ただ意外だっただけだ」
「俺が見るのって変かな?」
瑞波が不安そうに聞いてくるが俺はそれを否定しないし、人の好きな物を馬鹿にするつもりもない。
「変じゃない。ただお前は男だけど可愛いから本当に女の子に見えそうだなって思っただけだ」
「〜〜! 余計なお世話だ!」
「がはっ!?」
俺は正直な感想を言うと本日2度目の正拳突きを貰った。なんで俺は正直に言っても殴られたのだろうか?
「の、飲み物とか買って行こうぜ」
「…ん」
俺たちはポップコーンと飲み物を買って映画を観る。俺も瑞波も楽しく観ることが出来たので良かった。
「ヒロインめっちゃ健気で可愛かったな!」
「そうだな。瑞波も楽しめたなら良かったよ」
「あぁ! ずっと主人公のことを一途に思って最後には結ばれる。最高だった!」
瑞波のテンションがいつもより高くてびっくりだが、それほど面白かったのだろう。
「…なぁ、哲也」
「ん? なんだ?」
「お前は、今彼女が欲しいとか思うか?」
「お、お前。最近別れた奴になんてことを聞くんだ」
「ちゃんと答えてくれ」
「んー。そうだなぁ」
俺はしばらく考える。瑞波は真面目な顔で聞いてきたから俺も真面目に考える。
「まぁ、欲しいと言えば欲しい。…けど」
「けど?」
「お前らとこうやって遊ぶのも楽しいから、今は良いかな」
「そっか。そうだな」
瑞波は何か納得したようだった。
「じゃあ、また明日学校でな」
「あぁ、また明日な」
そうして俺たちは別れて、家に帰った。こうやって遊ぶのも久しぶりな気がするから楽しいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます