第49話 ジルは役に立つ ティーナ目線

ジルは毎日やって来るが、すぐにサリーさんに拉致されてお隣に行く。たまにご近所に派遣されているようだ。


お料理のお手伝いをしている様で、夕食にジルが作ったそれを二人で食べるが、美味しい。


昨日は村で貰って、サリーさんに丸なげした種の花が咲いた。綺麗な赤い花だ。


「これは二人で一緒に摘み取ると薬草になるってよ」とサリーさんが言ったので


「サリーさん、それってどの事典に載ってるの?」って聞いたら


「この花が言ってるわよ。こんなにはっきり喋るのは珍しいわね。大抵はなんとなく水が欲しいって言ってるかなとか、日が当たりすぎるよーーーって感じだから」


「そうなんですか、わたしはなんもわかりません」とジルが返事していた。わたしとジルは同じだなと思った。


「それで、二人が手を」と言いながらわたしたちの手を花の下に持って行くと場所を少し調整して


「そこでプチュっと摘み取って」


わたしたちは言われたとおりにやった。するとわたしはちっとも力を入れてないのに花が手に移った。


ほんとに移ったって感じた。後でジルに聞くとジルも力を入れてなかったって。


「花は一晩水につけて、それから干して保管して・・・・・作り手の願いをかなえるようになるわ」


「それも花が言ってるの?」


「うん、言ってる。残りは種にする。また、植える時はお手伝いお願いね」


「はーーい」と言って一晩水につけた花を干している。


ザルにいれて風のあたるとこに置いておくだけだ。



ジルはポーラさんの屋根裏のお掃除に行っている。なにやら入り込んだらしい・・・・



夕方、ジルは古いシーツになにかを包んで戻って来た。屋根裏にいたそうだ。


鳴き声が弱々しくなって来たと、心配するので上から水を振りかけた。チラっと見えたがとても可愛い。



ギルドへ持って行ってみるということでわたしも一緒に行くことにして、お店はサリーさんとポーラさんにおまかせした。


ギルドでなにかを檻に入れたので、見やすくなった。ほんとに可愛い。


尻尾が特徴で親らしき物は先が少し別れてYの字のようで、子供はふわっとしている。


あの初心者たちがちょうど帰って来て、檻を取り囲んで騒いでいる。


そこにマスターが戻って来て、


「これは最近ペットとして人気の動物だ。ミペットとかミペトと呼ばれる動物だ。捕まえたジルと家主に権利がある。二人で相談してどうするか決めてくれ。とりあえずギルドで預かるから」


わたしはポーラさんに報告するために急いで戻った。



店に戻ると、一段落ついて二人はおしゃべりしていた。


屋根裏にいたのがミペットだったと説明したら、


「草を食べるんだったら食費もかからないし、可愛いなら・・・・明日見てからよね」とポーラさん


「どれくらいお利口なのかしらね」とサリーさんも言うと立ち上がり、


「ジル、うちに食事を取りに来なさい」とジルを連れて行った。


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