第37話 これで終わり 王太子目線

フレデリックたちは、あの修羅場を止めようとしていた。全然だめだったけどな。



更によれよれになった三人を別室に案内し、風呂と食事の用意をさせた。



落ち着いた頃、俺が部屋を訪ねると、はじかれたように三人はひざまずいた。


言葉もなくふるえる肩が、彼らの思いを語っている。


「レッド公爵家は潰す。フレデリックは当主として最後の仕事をして欲しい」


「はい、どのような事も」


「「わたくしも同様に」」とクリフォードもニコラスも声を揃えた。



フレデリックはジルの二つ上で子供の頃、ジルと俺の面倒をよく見てくれたのだ。


その後、ジルの補佐に徹していたが、あの叔父さんが言うとおりやれるやつなんだ。



「これに署名をして欲しい。枚数があるから大変だが・・・・・」


フレデリックはふっと笑うとさっさと署名をした。


レッド一族は全員、平民に落ちた。奉仕をして貰うぞ。


質問もためらいもなかった。さすがだ。


「今後、三人はギルドで働いて欲しい。家名がないと面倒なんで好きなのをつけろ」


「はっ」


「質問しないのか?」


「・・・・・」


「動じないのはさすがだが、おもしろくない・・・」


「・・・・」


「ギルドをようやく手懐けた。手の者を入れたい。ちょうど三人いるから・・・・リバリア王国、ノーステラ帝国、アズマ法皇国へ行ってくれ。行先は三人で決めろ」


三人がうなづくと隊長が入って来て三人を連れて行った。



さて、いよいよ最後の仕事だ。


門番にそばを通った平民をなかにいれるように指示していたのだが、妙な匂いがするし、武装したものもいるしで、招き入れた者が異様なものを見て怖がってる。無理もない。



俺はレッドたちに向かって

「おまえたちは貴族ではなくなった。おまえたちは貴族の名誉を傷つけた。おまえたちは・・・・おまえたちは汚い。単純に汚い。臭い。触りたくない。ここからたたき出して平民に混ぜるつもりだったが、平民が嫌がっているよな」


と平民の方を見るとコクコクとうなづいた。


「この者たちはここから出さない」と言うと見物の平民はほっとしている。護衛に命じて彼らを外に送る。


俺はこの家の者たちに


「飢え死にさせるつもりはない。肉とリンゴンを届ける。わかっていると思うがここからでるのは許さない」


そう宣言した。

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