第8話 客間にて ジルフォード目線
セバスチャンは客の案内をさせたが、侍女長は部屋で待機させていた。
「ちょっとジョシー、お茶も出さないの?兄上は今いらしたけど、わたしたちは朝からここで待っているのよ。昼食も出さないとか・・・・お母様なにも言わないっておかしいわよ。お姉様も・・・・普段はもっと怒るでしょ。義兄上もどう思います?」
いきなりの爆弾で行くか。
俺はドアを開けてなかにはいると
「王命に逆らう咎人だからだよ」と言った。
「王命?」とフォグ侯爵がつぶやいたがすぐに俺の方を見て
「王命に逆らうなんてありえないだろ。馬鹿なこ」と言いかけて「本当なのか?その誰が?」間を置いて横の夫人を見て「まさか」と呟いた。
そうそんな馬鹿なことはしないんだよ。普通は・・・・
ファグ侯爵を見たマレーナ伯爵はスーザンを見て
「まさか、あなたもなのか?」
「王命って・・・・その差し支えなければ・・・・内容を教えてもらえるか」
とフォグ侯爵が言うとマレーナ伯爵もうなづいた。
「王命で結婚した」
「結婚?」
「うわさは本当だったのか。王命で結婚したものがいると」
「あぁ何組かがうわさになっていたが・・・・さすが王命の組み合わせと思ったが」
「公爵との相手なら最重要な相手だよな・・・・反対したのか?」とマレーナは妻を冷たく見ながら言った。
「答えるのを許可する。マレーナ夫人」と俺は言った。
「反対なんて・・・・結婚したと挨拶されただけです」
「それだけか。それのどこに咎が?」
「答えよ。命令だ」と続けた。
「え?」「それって?」と男二人が呟いた。
女三人は黙って下を向いたままだった。セバスチャンもジョシーも壁際でじっと立っている。
俺は
「水を飲むか?」と義兄弟に水をすすめた。
「「水・・・」」なにか言いたそうだがなにも言わなかった。
「水を飲むのを禁止していない」と言うと二人は小さくため息をついた。
それではわたしから説明しますねと言うと二人は少しだけほっとしたようだ。
女三人はびくっとしたが、なにも言わなかった。マレーナ夫人は夫の方を助けを求めるように見たが、すぐに下を向いた。
「王命で国の最重要人物と結婚しました。要人ですので保護する為に先ず結婚届けを出しました。公爵家の権力で守るためです。
家族と引き合わせる日に今回の任務が入り王太子と一緒に出発しました。
公爵家には王命による結婚をした大事な人だからと伝えておきました」
義兄弟はうなづきながら聞いていた。
「彼女は辻馬車でここまで来たそうです。門前できちんと名乗ったそうです。門番はなかに伝えたそうですが、門は開けられず彼女は一時間ほど待ったそうです」
「なに?」「なんと」
「見かねた門番が再度なかに伝え、セバスチャンが出て来て手土産を受け取り追い返したそうです。
疲れた足取りで帰る彼女を三人とジョシー、その日勤務だった侍女が笑いながらみていたそうです。
ジョシーここまで間違いないな?」
「答えよ」
「お許し下さい」
「答えよ」
みっともなく泣く女にうんざりした俺は意地悪く
「なんでもこれはジョシーが考えた意地悪だそうです。公爵夫人が気に入らなかったそうです」
「違います」とジョシーが叫んだ。
「公爵家への不敬だよね」と義兄弟はささやきあってる。
「ジョシー、なんて口をきくの。許しませんよ」と前公爵夫人が言うと
「奥様、あんまりです。わたくしは・・・」
「誰の発案なんて関係ありません。罪は罪ですから・・・」
「その公爵閣下、公爵夫人は今どこに?」
「わかりません」
「え?わからないとは」
義兄弟は顔を見合わせたが
「あの、続きがあるのでしょうか?」
「あります。ひどい話しです。聞きたいですか?すぐに離縁して関係を断つ事も出来ますが・・・・」
「あなた・・・」とマレーナ夫人がすがろうとしたが、彼は振り払った。
フォグ侯爵もすがりついた夫人を軽く突き飛ばした。
「その教えて下さい。知らなければお詫びもできません」
「そうです。知らないで済ませられる問題ではありません」
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作者は無口で無愛想ですが、内心すごく喜ぶし、励みになります。
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