修学旅行⑦

「俺らの正体暴き? 」


俺はチルハが何を言っているか分からなかった。


その時だった。


(お前、異能力を使えるのは自分だけだと思ってるだろ)


なんだこれは。


頭の中に直接話しかけてくるようなこの感覚。


(うぅ……)


俺は激しい頭痛で頭を抱え込んで倒れた。


「メルト、どうしたの?? 」


俺の異変にノエルが心配している。


完全に盲点だった。


まさかこれがチルハの'異能力'なのか?


だとしたらどんな能力なんだ?


頭痛を起こす?いや、テレパシーのようなものも使っている。


(メルトくん、考えてるね〜 )


まただ、なんなんだこの声は。


まさか俺の気持ちを読んでいるのか?


だとしたら詰んでいる。


どうしろって言うんだよ。


(メルトくん、君は僕を転生者だと思っているよね?

でも、それは違う )


まさか……


俺の心をよんでそれをとっさに言語化していたのか?


(その通りだよ、メルトくん )


(俺はずっとメルト君の気持ちを読んでた。

君がテストでどんな方法を使ったのかもね )


チルハは俺の頭の中にずっと喋りかけてくる。


「それやめてくれないかなぁ!

頭痛いんだよ!! 」


とっさに声が出てしまった。


チルハは少し動揺しているようだ。


「みんな、聞いてくれ。

あいつの能力は対象の人物の意識に干渉できるものだ」


「だから、協力してくれ 」


今回のメルトの話を聞いて気付いた。


異能力を使えるのは俺だけじゃない。


ジンクル、ノエル、マリン、この3人の中にも異能力者がいるはずだ。


'鬼の子'そんなの全員倒してやるよ!


そうすれば'天の子'に近づくに違いない。


俺の考えが正しければ、俺以外の3人はチルハに心を読まれていない。


そもそも接点が少なすぎるからだ。


つまりバレているのは俺の異能力だけ。


正体暴き?そんなのさせるかよ。


みんなの異能力がバレないうちが勝負だ。


今のチルハは動揺で俺の意識に侵入してきていない。


俺はそっとバックからナイフを取り出した。


これは宿に着いた時、キッチンから持ってきたものだ。


なぜか持っていかなければという衝動に駆られた。


これも俺の異能力の効果なのかもしれない。


'危険を察知する'

良い能力を持ったものだ。


さぁ、4人でチルハを倒すぞ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

続く

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