修学旅行⑥

やってるんだ俺は、声が響く洞窟の中であんな大声出して、チルハに気づかれないはずがないだろ。

こんなの誰だって分かる。)


「メルトくんにしては軽率な行動だったね 」


後ろから耳元で呟かれた声はやはりあいつだった。


「チルハ…… 」


「ジンクル達はどこにいるんだ、教えてくれ 」


俺はチルハの顔を見ることは出来ないが、あいつの顔が笑っていることが容易に感じ取れた。


「メルトくん、この状況でなぜ君は平常心でいられるんだい? 」


チルハは俺に時間を使わせたいらしい。


周りにチルハの手下たちが集まってきているのが分かった。


俺らの前にももう敵だらけだ。


その瞬間、額の中心が焼けるように熱くなった。


俺はチルハとっさに首をさげた。


(ヒュン)


俺の隣を通ったのは銃弾?いや光の弾だ。


「あぶねぇ 」


「なぜ今の攻撃を避けられる?? 」


チルハは少し動揺して俺の方を見ていた。


さっきの狙撃のこともあって、チルハと距離をとる事が出来た。


今の攻撃は誰のだ?


チルハは俺の後ろにいた、となれば別の人物が洞窟の奥にいる。


その時、俺たちの後ろからある女性の声が聞こえた。


それは俺たちの担任の先生だった。


「みんな〜どこにいるのー? 」


どうやら俺たちを探しに来たらしい。


ここで助けを求めれば俺たちの勝ちだ。


そう思い口を開こうとした瞬間、俺とマリンは黒い霧のようなものに包まれた。


「なんだよこれ、大丈夫かマリン? 」


「怪我はしてないよ 」


俺は、はぐれないようにマリンと手を繋いだ。


しばらくして霧が晴れると、そこは全く知らない広い空間だった。


ここはどこなんだ?


チルハたちはどこにいったんだ?


疑問が沢山浮かんでいた時、チルハの声が聞こえた。


「予定より早まってしまったが、いいだろう 」


「連れてこい 」


チルハは部下に命令すると拘束されたジンクルとノエルが出てきた。


そうだ、ここの空間はあいつら'鬼の子'の拠点だ。


(この鍾乳洞自体があいつらの拠点戦だったってことか)


「メルト!

お前怪我はないのか? 」


ジンクルが叫んでいる。


こんな時も人の心配をするなんて、ほんとにひとがよすぎる。


「大丈夫だよ

俺のせいでごめんな、2人とも 」


ひとまずみんなの無事を確認できてよかった。


「さあ、始めよう

お前らの正体暴きを 」


チルハは俺たちの会話を遮るように言った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

続く

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