修学旅行⑤

「どこだよ、ここ 」


俺は光ひとつない牢屋で目を覚ました。


牢屋と言っても洞窟の地形を活かして、檻を取り付けたような形で、部屋の至る所に包帯が散らばってた。


「なんか臭うな 」


部屋には異臭が漂っていた。


(てか、チルハはどこに行ったんだ? )


「おーい、誰かいないのかよー 」


俺が声を張り上げると洞窟内に音が反響してなにか不気味な感じだ。


「え?、まさかそこにいるのメルト?? 」


(?? )


聞きなれた声が聞こえた。


「もしかしてノエルか? 」


俺が尋ねると、すぐに返事が返ってきた。


「違うよ、マリン 」


「あ、ごめん 」


やはり双子というのもあって声は似ていた。


気まずい空気が流れたあと、マリンが喋り始めた。


「私たちメルトを探しに来たんだけど、メルトとチルハが話してるのを見てる時に後ろから襲われて…… 」


マリンは俺に起こったことの一部始終を教えてくれた。


「そうか、ごめんな怖い思いさせて 」


(俺のせいでみんなに迷惑かけてしまった)


俺は自分の行動に責任を感じていた。


「ところで今ジンクルとノエルはどこにいるんだ? 」


俺はずっと気になっていたことを聞いた。


「2人も私たちと一緒でどこかに捕まってると思うんだけどな 」


マリンはそう答えるが、ジングルたちの声は全く聞こえない。


もしかすると違う場所で捕らえられているのかもしれない。


「よしマリン、2人ででジンクル達と合流するぞ! 」


まずはこの柵をどうにかせねば。


そう思っていたちょうどその時、柵の前にマリンが歩いてきた。


「え、どうやって出たの? 」


「それは…… 柵が少しボロかったんだ 」


マリンはなにか動揺していたが、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。


「はい、これ 」


マリンは通路に落ちていた鍵を持ってきてくれた。


「行くぞ!マリン! 」


俺は牢屋が並んでいる通路を走り、探索を始めた。



「ジンクルーー!

へんじしてくれよ! 」


俺は全力で叫んだ。



「メルトくん、逃げちゃダメだよ 」


俺は肩に手を置かれているのを気付かなかった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

続く

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