第20話 色欲の大魔王とカエル人間、男の対決

 色欲の大魔王ナポレオーレ。水子牢から出て来た時には服はビリビリに破れ胸元の毛が見えていた。さすがダンディだ。イケおじである。水子牢のモンスターは死を覚悟して大魔王に挑んだようだ。


 ナポレオーレ。


「ハッハッハッ、そこのカエル!! 面白い技を持っているようだな! オジサンちょっと本気出しちゃったよ。」


 カエル冬夜は呆れ顔で言う。


「何やってんだよ、老害。」


 冬夜はもっとこう熱くなる脳みそをフル回転した戦いを望んでいたようだ。大魔王の不甲斐なさに少しイラついている。


「うっしゃーー!! 仕切り直しじゃーー!!」


 息を荒げたナポレオーレが叫ぶ。武器屋の屋根の上。冬夜とティーナは距離を取る。後ろに飛ぶ。ナポレオーレの嫁達が見守る中、戦闘が始まる!!


 先手はティーナ無詠唱で魔法を使う。


「ウォータースクリューカッター×500!! 切り刻みなさい!! 水の刃よ!!」


 ティーナが左手をかざした瞬間、ナポレオーレの周りに巨大な水の竜巻が!! そしてその竜巻には500もの水の刃が渦と一緒に回転しながら高速で移動してる。竜巻に飲み込まれたら一瞬で切り刻まれる。普通なら。水属性の高位魔法だ。


 ナポレオーレはというと首元のアーティファクトに手をやりニヤリと笑う。すると竜巻はすぐに消えてしまった。魔道具でかき消されたのだ。


「ハッハッハッ!! そんな物は効かぬ。」


 ティーナ、


「くッ!!」


 魔法をかき消されてティーナは体勢を崩し無防備。それなのに冬夜は助ける素振りを見せずに腕組みして左手を顎にかけ考え込む。


「……。アレは水属性だから攻撃が当たったのでは無いのか?? だとしたらなんで水子の攻撃が当たるんだ……??」


 冬夜はまだ分かったいないようだ。精霊術が何故大魔王ナポレオーレに当たるかを。ナポレオーレは金持ちで全属性耐性の魔道具を持っている。魔法どころか物理攻撃だって効かない可能性がある。なんだ?? 弱点はなんだ??!!


 大魔王ナポレオーレは体勢を崩したティーナを狙うのでは無く冬夜に接敵した。大鎌で間合いに捉え冬夜の首を瞬時に切り刻む。ナポレオーレは高笑い。


「ハッハッハッ!! おじさんちょっと怒ってるんだッ!! お前が邪魔なんだよ!!! カエルッ!! 余裕ぶっこいで隙見せやがって!! 同じヘマしてんじゃねえよッ!!!!」


 冬夜カエルは大鎌によって切り刻まれる。血飛沫が飛ぶ。いや、これは体がまた赤くなって血の塊になってからの血飛沫なのでブラッディドールである。ナポレオーレが高速で鎌を振るうので判断が難しい。


 そして透かさず大魔王の後ろから冬夜が現れる。大魔王を水子牢に閉じ込めてから一瞬の隙に本物と入れ替わっていたようだ。冬夜は手品師のようだ。


 冬夜、


「同じ手に引っかかってるのは!! お前なんだよ!! 老害!!」


 一かバチか!! 冬夜は両手をナポレオーレに向けて叫ぶ。


 「精気砲ッッ!!!!」


 冬夜の全力の精気砲。精気を粒子に変えて目の前のナポレオーレに背後からぶっ放す!! ナポレオーレは振り返る間も無い。反発作用で戦意喪失してくればありがたい。効かない可能性もある技だ。冬夜はギリギリ感を味わっていた。


 はずだった。



                  つづく

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