第18話 色欲と水子

 水子牢に囚われた色欲の大魔王ナポレオーレ。ナポレオーレは息ができない。水中でもがきながらそれでもティーナの為に不敵の笑みを浮かべる。


 ゴボゴボゴボゴボ!!!!


(フフ、こんな水牢僕のアーティファクトで破壊する。その後どう復讐しようかな。んん? 水牢にモンスターがいるぞ? コレはラッキー。僕は大魔王だもんねー。俺の魅了でこのモンスターを従えてあのカエルの野郎を引き裂いてやる。倍返し? いいや千倍返しだ!!!!)


 はじまりの町、夜の武器屋の屋根の上。ナポレオーレの嫁達が怯える中。カエル冬夜とゴスロリティーナはナポレオーレの嵌った水牢を近くで眺めていた。冬夜は考える。今回まぐれで水牢に嵌ってくれたがナポレオーレの反撃は必至だ。


 なんせ七魔王の上、四大魔王の一人なんだから。弟子のミリアは剣の大魔王、クサナギ・ダーマを倒したがまた復活するだろう。多分本物の魔王城は別にある。魔王100日勇者1日と言って魔王は倒してもすぐ復活し魔王を倒した勇者は魔王軍に討伐される。ミリアが今回目を付けられた以上早めに本物の魔王城を見つけたい。はじまりの町ごと攻められるのは予想外ではあった。


 水子牢はこっちの魔法ウォータープリズン。いわゆる水牢魔法とそんな変わらない。違いは水子をエネルギー源にしているのでどうしても水牢の中に水子が混ざってしまう。大体は水牢に嵌った人物の邪魔をしてくれて時間を稼いでくれる。


 冬夜は考え事をしながら水牢を眺めているとふと気づく。


「あれ?」


 大魔女ティーナは冬夜に返事する。


「どうしました? 冬夜さん。」


 流石大人の姿のティーナ。落ち着いている。ゴスロリロリータ幼女のぶりぶりと使い分けてる。どう見ても同一人物では無い。女は恐ろしい。


 冬夜は水子牢の中を眺めて一言。


「水子牢の水子ってこんな数入ってたっけ?」


 冬夜は考えた。確かに水子牢の水子は二、三体のはず。それは水牢に入ったものの生涯背負うべき水子に比例するのだから。しかし今日は何十体もの水子がひしめき合い水牢に流れ込んでくる。おかしい。


 ティーナは自分に振られたと思い返事する。


「???? さあ? 私、冬夜さんと異世界行ってませんので。」


 ティーナは異世界ゲートの魔法と維持の為こちら側の世界に残る対応をしていた。旅行に連れて行って貰えない彼女のように冷たくあしらわれる冬夜。


「悪かったって、どんな所が分からなかったんだから。危ないとこだと嫌だろ?」


 その言葉にティーナはさらにつっけんどんに冷たくあしらう。


「どんなとこだったんです?? そう言えば聞いてませんでしたね。」


 冬夜は慌てる。


「ぐ、ムムムム、まあ、なんだ、ファンタジーだったよ。」


「???? フフ、そうですか。」


 エロゲのような世界だったとは言えない冬夜と遠見の水晶でこちらの世界から全てを見てた大魔女ティーナ。女心は複雑で。今回軍牌が上がったのはティーナの方。さすが大魔女抜かりは無い。


 雨頭冬夜。ブラフとトークが好きなTRPGプレーヤーおじさん。ただ女心は読めなかったようだ。



                  つづく

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