第17話 異界の魔法精霊術

 ナポレオーレの瞬動クイックムーブをする。カエル雨頭冬夜は察知して振り返るがもう遅い。冬夜は大魔王ナポレオーレの大鎌に一振りされ横に真っ二つ。その後ナポレオーレの早業で微塵切りの様に切り刻まれる。


 ティーナの悲壮な顔。ナポレオーレは彼がティーナの大事な人と察し更に笑みを浮かべる。


「おおお! 楽しいなあ! ザコを切り刻むのはよぉ!!! 俺より弱い奴がNTRしようとするから!! 天罰なんだよ!! カエル不勢がよ!!」


 カエルのモンスター雨頭冬夜は大鎌によって切り刻まれた。その瞬間カエルモンスターの体は赤くなり血飛沫となって辺りに飛び散る。ナポレオーレは服が汚れるのを嫌い黒いローブで身を隠す。その隙に背後に近寄る者がいた。


「誰がお前の嫁に手を出すかよッ!!」


 ナポレオーレの背後から現れたのはカエルの雨頭冬夜本人だった!! さっきのカエルはブラッディドール。デコイだ!!! ティーナは上空で驚きホッとする。ナポレオーレは振り返ろうとするがもう遅い。黒いローブ姿のナポレオーレに特大の水の玉を持ち上げる冬夜。振り返り切る前に冬夜は両手で水の大玉をナポレオーレに向けて振り下ろす。


 冬夜は叫ぶ!


「精霊術ッ!! 水子牢ッ!!」



 ナポレオーレは大きな水玉に飲み込まれ閉じ込められた。大きな水槽に鎮められ、不意を突かれたナポレオーレは混乱した。何故俺は魔法に掛かっている?! アーティファクトで掻き消せるはずでは??!!


 精霊術。前に雨頭がティーナとの特訓で異界のゲートを開いてもらった際この異世界とは別の異世界から持ち帰って来た魔法。この世界の精霊魔法は自然世界に住み着く精霊をエネルギーの媒体に使うのに対し精霊術は精霊石と己の精気を媒体に使う。名前は似てるが全然違う魔法である。


 雨頭冬夜は後に語る。精霊術を学んだ異世界は子供に言えないようなエロゲの様な世界だったとか? だから冬夜は術の習得以外ティーナ達には異世界の概要を話さなかった。


 精霊術を説明すると精霊術とは水子を守護霊とした魔術と医療の技術で主に生物の精気を主力エネルギーとする。言わば性欲をエネルギー源にする。異世界ではこの術を使う者は精霊術師と呼ばれ日々モンスターを倒したり医療を行っていた。冬夜が異世界から学んできた精霊術は精気砲、水子牢、精霊砲、錬精法、浄化、である。これで異世界の大抵のモンスターには対処出来た。


 ティーナと雨頭は武器屋の屋根に降りてナポレオーレを観察する。


 大きな水槽のような水牢に沈められたナポレオーレはゴボゴボ言っていた。


 ゴボゴボゴボッ!!!


(フハハ。私がこの程度の水牢で落ちるとでも!! 舐められたものだ!!!)


 ナポレオーレは強い。全ての魔法を掻き消す。この世界のアーティファクトで。でも異世界の魔法は効くようだ。なんせ異世界独特の魔法を防ぐアーティファクトは異世界にしか無いのだから。


 涙目で冬夜が助けてくれた事を喜ぶティーナと顎に手をやり考える雨頭。冬夜はあまりにナポレオーレがちょろいので焦っていた。ブラフ好きの冬夜はあまりにもスムーズに行きすぎると困惑する。ブラフとはどうしようもない時に使うもので、スムーズに行くなら普通使わないからだ。


 雨頭は考えていた。コレ俺のブラフ(趣味)出番無くね??



                  つづく

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