第15話 キティとミリアとお邪魔虫
キティと私ミリアは少しの間抱き合って再会を喜び会った。こんな冒険も良いよね。うんうん。
キティは嬉しそうに言う。信頼し切った顔で。
「良かった! これで。お姉様! あとはお任せします!」
キティ、汗だくで疲れているようね。私はやる気を出す。お姉ちゃんだもん。
「キティ、良く頑張ったね。あとはお姉ちゃんがやります。」
エクスプロードン乱れ打ちすりゃあいいもんね、楽勝楽勝!!
私とキティはまた固く抱きしめ合う。二人の絆は深まった。
「おーい、ちょっとお前達。勝手に話進めんな。」
お邪魔虫の師匠が私達の間に割って入る。何こいつ、竿男なのかな? キティと私は文句を言う。
「師匠、どうしたんですか? 楽勝でしょ?」
「冬夜さん私達間違ってます? これで勝ちでしょ?」
私達は師匠ガエルに抗議する。冬夜は咳払いして私達を指さす。おっさんよね、そういうとこ。
「今ここでは俺が作戦部長だ。いいかよく聞け。今すぐもう一発虚空切断を撃て! ミリア、お前には別にやって貰うことがある。」
なんなの? こいつ。私とキティは訝しながら魔王軍に虚空切断“光線“を撃つ。キティは立膝をつく。もう限界なのかも。私は心が痛い。
冬夜は叫ぶ。
「ミリアッ!!」
私は咄嗟だったので驚く。
「ハ、ハイッ!!!」
「お前は敵の本拠地にいる七魔王の黄の魔王ゴーレムダ山田を倒して来て貰う。さっきのサキュバスが魔王軍のいる丘の向こうに飛んでった。酒場でのマーキングで本拠地の場所も把握している。」
「ハ、ハイ。」
あの時の酒場で掛けてたのはやっぱり例のアレだったか。納得しつつも。私は上の空だったので生返事しか出来なかった。師匠は後を続ける、師匠の分身は言う。
「で、そこまで行く方法だが……。」
そこに疲れ果てたキティが手を挙げる。
「ハ、ハイ、私も行きますッ!」
「キティ!!!」
私嬉しくて泣きそうになっちゃった。目を潤わせながら感動しちゃった。ホントは休ませた方が良いけど。私頑張るから!!キティに負担掛けないから!! 師匠!!!!
「ダメだ。キティはここで虚空切断を撃ち続けろ。」
「えーーーーーー!!!!」
「冬夜さーーーーーーんッ!!!!」
私とキティは大声で落胆しつつ半分恨み節になった。師匠。あんまりだよ。師匠は続ける。
「ミリア。お前は潜入だ。簡単で一瞬で着ける。大丈夫だ。俺がやる。」
わたしとキティは驚きつつも怖くなった。そして聞き返す。
「オレが??」
「やる????!!」
師匠は言って無かったかもしれないがブラフとトリッキーをこよなく愛す。いわゆるファンキーで……、イかれた冒険者クズレだ。ただの潜入のやり方では無いはず。キティは既に顔が真っ青だ。過酷な修行と師匠のトリッキーさを知ってるから尚更だ。私も青くなって逃げようとした。
そこに、もう一人のブラッディドールの師匠が私を後ろから羽賀いじめ。私はさらに怖くなって来た。乙女にやる態度じゃ無いでしょ??!! これ。
師匠は軍隊の部隊長のようにその場をウロウロし出す。戦略説明だ。
「なーに、俺達ブラッディドールとはいえ体術が使えるんだ。ブラッディドール二体が全力で投げ飛ばせば15キロ位飛ぶだろ、ミリアは軽そうだしな。よし行くぞ!! 集気法!!」
師匠は呼吸を整え筋力に集中する。頭イカれてるだろこのおっさん! 女子を投げ飛ばすなんて!! ギャグ漫画かよ!!!!
「やだーーーー!!!! 助けてーーーー!!」
キティもそれは無いという顔で青くなっていた。疲労のせいで姫騎士とはいえ動きが鈍い。投げ飛ばすのをやめさせる体制が取れない。ごめんねキティに重荷背負わせて。お姉ちゃん行って来ます。
集気法を行った二人の師匠は私を思いっきり2人がかりで投げ飛ばす。
「そりゃーーーー!!!! いけーーーー!!」
「やーーーーーーッ!!!!(師匠!!!!
これがやりたかっただけでしょ!!!! 鬼!!!!)」
私はそのままミサイルのように投げ飛ばされ放物線を描いて10キロ先の魔王軍の軍団を飛び越えていく。
「きゃーーーーーー!!!! 最悪ーー!!」
何も悪びれない師匠
「飛んだ飛んだ。ふぅ、良かったな。この世界にもアトラクションが出来たな。」
良かったとでも思っているのか。師匠。隣のキティは諦め顔で立ち尽くしている。
「あ、アトラクション??!!」
もう何が何やら分からない。頭抱えても良いものかも分からない顔で疲労いっぱいのキティ。
カエルのモンスターは私を魔王軍の進軍の奥側。丘の向こうに投げつけた。魔王軍は今回陸軍がほとんどだ。飛行部隊がいない。もしかしたら即興で組んだ部隊なのかな? 時期的に私が二人目の魔王を倒した後ぐらいに作戦立てればこのぐらいの規模か? え?! もしかして魔王軍の目的って私?? 私はそんな事を考えながら空中で回転し体勢を整える。
飛んだからにはちゃんと着地しなきゃね。今回の目的か師匠にはカッコいい着地を修行してもらっていた。魔法エクスプロードンを利き足に纏わせて。
「エクスゥーープロォードォーーンッ!!!! キィーーックゥーーッ!!!!」
魔王軍の司令部と思われる居住区に大爆発を引き起こし私は降り立った。後でキティちゃん曰く。丘の向こうからも大爆発は見えたって。てへへ。私は弟子入りする人達を間違えたようだ。
そしてこっちははじまりの町入り口。キティ側。キティはカエルに抗議していた。
「冬夜さん!! コレはあまりに酷いのでは??」
師匠はふざけてるとか悪びれる様子もなく。キティに言う。
「おい、キティ! ボケっとするな! 早く虚空切断を撃て。中と外で混戦すると俺も勝てなくなる。」
冬夜は焦っている。いつにもなく不機嫌だ。周りに優しくしている余裕が無いようだった。
疲労が限界を超えたキティは気づいた。この転生者鬼だ!! 氷河期世代のおっさんの鬼だ!!
キティは何かが吹っ切れた。投げやりに全力を出す。
「くそーーーー!!!! 虚空切断ッ!!光線ッ!!」
また10キロ先の魔王軍が吹っ飛び切り刻まれる。あの魔王軍。本拠地爆破されたのに進軍してくるぞ!! どっちもイカれてるやん。 キティは疲れてるんだと思考を辞めた。
(このままではお姉様と旅が出来ない。そして魔王倒してもこの師匠がいる限り私達に平和は無い。旅から帰って来たらこのカエル倒そう。今に見てろよ!! このエロガエル!!)
思考は辞めたが恨みだけは沸々と浮かぶキティは冬夜に言われる通り技を打ち続けた。
その頃。ティーナは色欲の大魔王とはじまりの町の夜空で戦っていた。
つづく
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