第14話 キティ全力の防壁戦!!

 はじまりの町、入り口。はじまりの町は石垣の高い壁に覆われている。四方に城門はあるものの一番魔王軍の進軍が見える東側の入り口。キティは冒険者達と身構えていた。


「あと一発!!」


 キティは技を使っていた。汗を掻き疲れていた。立膝をつき、今にも倒れそうだ。もう何発撃ったのだろう。虚空切断“光線“。アレは個人戦にも軍隊戦にも応用が効く。なんせ空間を斬る事で遠方まで斬撃が届くのだから。


 姫騎士キティが大剣を横に放つと横一線に剣撃が飛び多くの魔物を真っ二つ。同時に倒せる。このような軍隊戦に使うのは初めてだがかなり効果的なのが判明した。


 丘からやってくるオークとゴーレムの軍団に剣撃が横一線に飛ぶ。その幅はざっと三キロ〜四キロ。目算魔王軍との距離が十キロはありそうだから波状攻撃としてはそんなものだろう。だからまだ魔王軍は町まで到達していない。街中では他の戦闘が行われているが冒険者達の奮闘で何とか持ってる。魔王軍の飛行部隊はいないようだ。オークもゴーレムも知能が低いのでこんなに犠牲が出ても進軍を辞めない。虚空切断“光線“を何度も撃っても後続が進軍してくる。これは全滅するまで進軍を辞めないという決意表明なのか? それともただのバカなのか?





 十キロ遠方にはオークとゴーレムの残骸の山。体を真っ二つにされた、肉片と金属。それでもそれでも進軍してくるなんておかしいだろ? キティはチート転生者とは言え初めての大規模戦で戸惑っていた。そしてこの疲労。



 もう何発撃っただろう? 虚空切断“光線“。二十発撃った頃から数えてない。今回は遠方用なので倍力倍速を使った上雨頭に教わった集気法も使って撃っている。毎回全力の一撃。そろそろ気力、魔力、精神力、筋力が限界を迎えそうだ。


 それなのに隣で呑気に冒険者達の指揮を取ってる雨頭冬夜、カエルのモンスターは言った。


「ほい、もう一発撃て。」


 キティは流石に言う。


「冬夜さん、ちょ、ちょっとお話が。」


 冬夜は首を傾げる。


「何だ?」


 キティは疲れている。


「ちょっと休ませて貰っても良いですか? 言ってなかったけどこの技未だ僕にしか使えないチート技何です。そう何十発も撃って良い技じゃ無いんです。」


 雨頭は平然と言う。


「だから何だ?」


 キティはその言い方に驚く。


「へ??」


 雨頭は切り出す。


「お前は地球の平和ボケに慣れすぎている。チート技を使えるからって余裕ぶっこいでいる。ちょっと限界超えた方が良いんじゃないか?」



 キティは雨頭が何を言いたいのかが分からない。その言い方に驚いてしまった。


「はぁ?」


 キティは思う。僕がここで倒れたら魔王軍が攻めてくるんですよ?? ミリア姉さんの師匠冬夜さんが強いったって何千何万というモンスターを相手にしたらどう考えたって勝てないでしょ????


 キティはその場に仰向けで倒れて冬夜に呆れている。冬夜もキティに呆れている。そこに冬夜のブラッディドールに連れられてミリアお姉様がやって来た。


 キティは思った。やった!! これで姉様のエクスプロードンで勝てる。すぐさまキティは起き上がる。



「ミリアお姉ちゃん!!」


「キティ! 無事だった!!」


 キティと赤い服のミリアは戦場で熱い抱擁をした。


                  つづく

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