第12話 ゴスロリ魔女ティーナの嫌いなやつ

 冒険者の皆とキティちゃんはもう街の外で戦闘中なのかな? 街の外から凄い地響きが聞こえる事がある。街の中でも何か戦闘している声が聞こえる。私はミリア。炎の魔法使い。今回の戦闘は楽勝なクエストだと思ってた。酒場のゴーレムを倒して街の外に行き私が魔王軍に対してエクスプロードンを打ちまくる。そうすれば勝てると思っていた。


 師匠には昔から言われる、お前は楽天家だと。このまま勝てると思っていたが街中を走っていると私は思わず驚いた!


「何これ!!」


 街中は既に戦場冒険者達はモンスターと戦っている。そのモンスターが異様だ。首の無い女性の裸体?! 鑑定スキル! デュラハン?! 女性体?! そんなモンスターいるの?! それにこの裸体綺麗だけど、魔族のオーラが凄い!! 戦闘スキルがほぼ無いのに冒険者達はデュラハンを倒せない!! そういえばアンデッドは魔力を付した武器か銀製の武器、若しくは魔法でしか倒せなかったはず。やばい!! そんな高価な武器、はじまりの街には少ない!!


「師匠!! 一体どうなってるの?!」


「良いから!! お前ははじまりの町の入り口に向かえ!! あとは俺とティーナがどうにかするッ!!」


 私は走りながら生唾を飲み込む。師匠が戦闘に出るとは。あれ?! 塀から見える道の一つ向こう側の路地では?!


 勇者ファスターのパーティ、勇者ファスター、魔法使いピピ、僧侶サリア、格闘家カカがデュラハン女性体複数と戦闘しているのが見える。私は走って通り過ぎる。





 はじまりの町、武器屋の煙突の上。ある一人の男。イケおじで中はオシャレな貴族服、黒くて長いボロボロのローブを肩に掛け右手で大鎌を携える。ちょいワルおじさんの風貌した金持ちおじさんだ。金属の指輪やネックレスもジャラジャラしている。薄く髭もある。


「フフ、大魔王ナポレオーレ、久しぶりのフェスはこうでなくちゃ。私のビュータイムはまだかな?」


 大魔王ナポレオーレ。色欲の大魔王。数々の女性を魅了し虜にして来た。そして自分の妻にして殺して来た。彼の妻は何百といる。そう、街中のデュラハンはかつての彼の妻。彼は思う。人であろうとアンデッドに成れば永遠に美しいと。


「ナポレオーレ様、ゴーレム山田様がやられたようです。」


 武器屋の煙突の後ろ。武器屋の屋根には首輪をした女性数十人が膝跨いていた。彼女らは全員裸で怯えていた。その中の一人の女の子がナポレオーレに報告をする。その子も裸で首輪をして怯えている。


「そうか、じゃあ、補充しないとね。君の番だよ。」


 女の子は顔面蒼白になる。ナポレオーレは大暮鎌を払い少女の首を刈る。少女の首は飛び少女は悲鳴を上げて一旦は倒れるがすぐさま立ち上がり首の無い裸体。デュラハンとしてはじまりの町に繰り出す。それを大魔王ナポレオーレは鼻歌まじりに見つめ、首輪の女性達は怯えながら怖がる。


「嫁は多ければ多い方が良い。」


 大魔王ナポレオーレはシティボーイっぽくかっこいい顔とポーズで決める。


 そこに黒いゴスロリ服を来た少女が一人魔法で空中を浮かびながら上がって来る。その少女の顔は怒りに満ち軽蔑の眼差しをしていた。


「おお、来てくれたか!! はじまりの町に置いて来たマイハニー!!」


 ティーナは唾を吐き捨て大魔王に叫ぶ。いつも穏やかな彼女に比べ尋常じゃない怒り方だ。


「また悪趣味な事してるんですねッ!! ナポレオーレッ!!!! 反吐が出ます。」


 魔女ティーナは魔法で元の姿に戻る。普段は小さな少女だが元の姿は長身の女性。見た目二十代位か? この世界では500年は生きてる魔女だ。三大魔女の一人でその魔法は女神にも匹敵すると言われる。昔女神との争いで契約しはじまりの町を離れられない条件ではじまりの町の近くの洋館に住んでいる。まあ、魔力が強すぎて契約はあってないようなもの。身分を隠して街で暮らしていた。


 カエルのモンスター雨頭冬夜に出会ってからはロリ語だったのは流行に合わせていたようだ。ミリアに会ってからはお姉さん役に徹している。やはり魔女は賢い。


 大魔王色欲のナポレオーレはティーナの登場に嬉しがる。何か因縁があるのだろうか?


「おお、麗しの魔女ティーナよ。私と踊ってくれないか?」


「その前にその女性達を解放しなさい!! 私は本当に怒ってます!!」


 大魔王ナポレオーレは拗ねる仕草で言う。


「魔女ティーナもウブだねえ。妬いちゃったの?? この女の子達のことは考えなくて良いよ。君がその気なら第一王妃にしてあげる。」 


 魔女ティーナは叫ぶ!


「そういう問題ではありません!! すぐその子達を解放しなさい!!」


 大魔王ナポレオーレはふざけたように言う。


「うーん、そう言ってもねえ。この子達僕と契約しちゃったんだよね! 結婚するって。」


 魔女ティーナは歯を食いしばって吐き捨てる。


「このゲスがッ!!」


 悪魔との契約、魔族との約束、そして大魔王との結婚。この子達はみんな可愛くスタイルが良い。結局金と格好良さで男を見る類の女性達かもしれない。でも、それでもティーナは許せない。


 ナポレオーレは大鎌を構える。月夜の空。大鎌を構えるイケオジとゴスロリ服の女性。


「さあ、始めようか? ミスティーナ!! 私達の愛のタンゴを!!」


 ティーナは誓う。こいつをここで全力で叩き落とし、魂を地獄のそこに沈めると。


「あなたを潰して地獄に落とします。今ここで!」


 私、ミリアと師匠の分身は町を走っていた。そういや師匠の本体どこかな?? もう酒場出た時入り口にも居なかったし。



                  つづく

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