第4話 雨頭冬夜(あまがしら とうや)

 朝、ミリアはベッドから起きようとした、夜カエル師匠雨頭冬夜に胸を鷲掴みにされ揉まれる夢を見てちょっと不快だった。


 寝巻きのまま起きると胸に小さな手が、少女剣士キティが両手で私ミリアの胸を鷲掴みにして揉んでいた。時折気持ち良さそうな笑顔の寝顔を見せる。キティ私はちょっとくすぐったくもキティの寝顔が可愛いので優しく起こしてあげることにした。


「キティ、もう朝よ。」


 ゆすって起こしてあげる私。


「ウミュ、まだまだ。」


 何故か起きない。とても幸せそうな寝顔のキティ。


「キティ、起きなさい!」


 ちょっと強めに言ってみた。するとキティは


「え、へ? あ、ああああああああーーーー!!!!」


 寝ぼけていたキティは起きて我に返るとベッドからのジャンプして床に降り土下座してきた。キティは何度も額を床に打ちつけおでこが赤くなっていた。


 なんでも騎士道の実家ではお姉さんの胸を寝ながら揉んでる事が多かったそうだ。まあ、女の子だから許す。でもキティちゃん、お姉さんがいたんだあ。そうか、納得。年上の女の子の扱いが上手いのね。


 私達は着替えてはじまりの町の隣の森へ。あそこカエル師匠とティーナさんの洋館があるんだよ。木の実取りに行った時も挨拶出来れば良かったのに。キティちゃんがドロドロだったからね。いつでも行けるから師匠に会うのは後にした。


 森の洋館に着いた。私とキティ。メイドさんに案内されると私はリビングでティーナさんに。キティは何故か師匠と洋館の地下に。







 森の洋館地下の修行場。


 森の洋館の地下にはだだ広い空間が存在した。魔女ティーナが女神イリアに疎まれ話し合いの結果はじまりの町の隣の森に封印された。お伽話での話ではそうだ。だが、実際には違った。魔女ティーナは今も人々に施しを与え生きていた。カエルモンスター雨頭冬夜とひっそりと暮らしていた。


 キティはカエルモンスター雨頭冬夜と修練を始めた。まずは手合わせ。キティは雨頭に切り込んでみる。キティはこう見えても地元では天才的な剣術の持ち主なのだ。たまに相手を侮らせる為に弱いフリをする癖がある。はじまりの町の酒場で聞いた強いモンスターと魔女の噂を聞いて森に入ったものの人払いの結界に引っかかってしまいとりあえず助けを呼ぶ戦術を取った。魔女には会えなかったものの。魔女達の知り合いに出会えたのだから大したものだ。


 修練から1時間、キティは高揚していた。長剣で切り込み続けるも一切カエルのモンスターにはキズを付けることが出来ない。フェイントしてもムダ。全ての動きが読まれているようだった。


 キティは思った。想像以上だと。このカエル師匠は思った通りキティと同じ転生者。キティは考えた。この実力で魔王を倒しにいかないのはスローライフ好きか? それとも自分の姿がモンスターなので魔王が滅ぼされたら次は自分も人間に滅ぼされるのを嫌ったのか? 


 カエルは言った。


「おい、ぼーっとしてねえで来いよ? それとも1時間でへばるのか? ミリアは3日は戦い続けられるぞ?」


 どんな稽古だよ?! キティは思いながら


「は、ハイ。」


 キティは少し本気を出す事にした。キティは転生者。でも簡単に実力をバラしたく無い。早めに決着をつけて一部の能力を解放する事にした。キティは自分の最上級の気を載っけて長剣で横一閃を放つ。それは光速の動きで空間を斬る一撃だ。




      「虚空切断“光線“」


 カエル師匠を斬った。カエル師匠は半分に斬られ影も形も消し飛ぶ。空間そのものを斬ったので地下空間の岩の壁も横に等しく一閃の割れ目が出来る。空気が張り詰め土の匂いがする。地響きが鳴る。


 しかし、


「おー、良くやったな。」


「へ?」


 キティの隣にカエルがいた。斬って消し飛ばしたはずなのに。キティは拍子抜けした。そして流石だと思った。雨頭は生きていた。斬られた後もなく。キティは訳が分からなくなった。


 カエルはニヤリとしていた。雨頭はこういう展開が好きだ。こっからが雨頭の反撃だ。




                  つづく

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