第2話 勇者ファスターのパーティ

 始まりの町へ戻る二人。宿に着くと女主人に手配して貰って露天風呂で体を洗う二人。女子は楽しい。何をしても。キティ、


「お姉ちゃん、良い宿知ってるんだね。」


「ええ、ここの姉妹が友達なのよ。」


 お宿のお風呂。露天風呂付き、女風呂。二人で体を洗った。キティは金髪の少女そのもの。私は成長中。女同志の風呂って久しぶり。勇者パーティの時もあったけど。あの時は女同志ピリピリしてたから。ピピもサリアも巨乳だったし。キティ、


「お姉ちゃん、お背中お流しします。」

「はーい、ありがと。」


「女性の背中って柔らかいんだね。」

「え?」


「あ、いや、なんでもないよ。お姉ちゃん!」


 かぽーん。お風呂は気持ちいい。ゆっくり入った。


「あー、良い風呂だった。」


 私は言う。


「キティちゃんはなんかちょっと男の子っぽいとこあるよね?」


 キテイ、


「え?! そ、そんな事ないよ。うふふ、ま、まだ子供なだけよ。」


 まあ、体洗いっこした時にあそこはついてない事を確認したし。正真正銘の女の子だけど、なんか時折見せる仕草とか、なんかしおらしく無いというか?? 女剣士ってそういうものかしら??


「じゃ、次! 服買いに行くわよ!!」


「はーい、お姉様!!」


 お、お姉様!!?? 私はその言葉にくらっと来た。


「え?!」


「もう私達の関係はお姉様でしょ?? ミリアお姉ちゃん!!」


「えへ、えへへ。」


 その言葉にニンマリする私。


 私は魔王を倒した、炎の魔法使い、でもいつも冒険者達に恐れられてて小さな女の子にお姉様と言われた事が無い。私の心は癒された。


「そうかあ、お姉様かあ。キティちゃん、夕飯一緒に食べようね!」


「はーい、ミリアお姉様!」


 よく出来た子だ。こうして私とキティは仲良くなりました。






 夕方、町で

 服を買う二人。キティちゃんと私は楽しかった。金髪のキテちゃんにはピンクのロリドレスに鉄の胸当てと皮の装備をつけてみました。


 うーん。お人形さんのよう。こっちがめまいしそう。可愛いを通り越してキューです。


 そうやって始まりの町をぶらついてると勇者一行にあった。勇者ファスターの率いる一行である。勇者ファスター、女魔法使いピピ、女僧侶サリア、男のモンク、カカ。彼らは元私がいた勇者パーティ。


 勇者はこっちに気づくと近づいてくる。私は困った。昔は彼らに会うと引け目を感じていた。私はかれらに追放されたのだ。しかし今は違う。私は魔王を一人で倒した。勇者の力を借りずに。彼らは魔王を倒した私になんというのだろう? キティちゃんを庇わねば。


 勇者ファスターは話かけて来た。


「お、おい、ミリア。前は悪かった。俺が悪かった。」


 下手に出る勇者。昔はずる賢く、利益主義だったのに。


「ふーん。(そう出るのね。)」


「それでな、ミリアに相談なんだが。」


 何かふっかけてくる。私はそう直感した。ので、


「私、この子の服買わないといけないからまたね。」


 私は逃げて避けることにした。


「あ、あの、ミリアさん??」


 そこにすかさず女魔法使いのピピが割って入る。


「ちょっとミリア! ファスターが聞いてんだから。聞きなよ。昔の仲間でしょ??」


 この女魔法使いはいつもしゃしゃり出たがる。私はむかついた。


「それで? そのファスター一行がなんではじまりの町を出ないの?? 勇者は冒険に出ないの?」


 勇者ファスターは下を向く。


「うぐぐ。」


 すかさずピピが弁明する。


「ちょっとミリア! 調子乗らないでよ! 魔王の一人や二人倒したからって! ファスターはね!」


「そうだぞ! ミリア。魔王はまだ沢山いるんだからな。」


 モンクのカカが私達のなだめに入る。勇者ファスターは分が悪そう。私は強気に出る。


「とりあえず、私は用があるのよ。キティいこ。」



 ピピは捨て台詞を言った。


「私達は冒険には出なかったけど。この町では顔が効くのよ?? 後で見たらっしゃい!! ミリア!!」


 しかめっ面で斜めにこっちを見やるピピ。どうしようもないと肩を下がるカカ。まあまあとお母さんみたいなサリア。いつものパーティ。ただファスターだけは


「ミリア、また今度、ゆっくり話そう。」


 なんかこの勇者調子狂うなあ。ファスターは前よりやつれた? 疲れてる? なんか元気の無いようだ。


 私とキティは逃げるように宿に帰った。服は買ったし。また勇者達に会うのも面倒だ。あのピピは嫉妬深いので戸締りはちゃんとしないと。


 宿の部屋でキティは言う。


「お姉様。明日はどうするの? この町にいて大丈夫? お姉様?」


「大丈夫よ、キティ、明日はカエル師匠のとこ行くわ。」


「カエル師匠?」


 キティは分かっていないようだったが、これで良い。明日行けば分かる。今日は私とキティ二人で寝る。二人でベッドに入りいろんな話をした。私の魔王を倒す話や。キティちゃんのおうちの話し。キティちゃんは騎士道の家系で魔王を倒すために家を出たそう。お家では剣技の天才と言われてたそう。そうかあ。なんか忘れてる気もするが、やはり明日にはカエル師匠に会わねば。二人の夜は幸せだった。


 夜、星々が賛える暗がり、始まりの町の隣の森では山火事が起きていた。そりゃそうだ。あの炎の魔法使いミリアの熟練したファイヤーボール。火球を森でぶっ放したのだ。火事にもなる。その森にある洋館の主。ゴスロリ服のティーナとカエルのモンスターは森中のモンスターとティーナの洋館の人形を総出で火消しに走っていた。カエルのモンスター異世界転生者雨頭冬夜(あまがしら とうや)は洋館で人頭指揮を取ってきた。山火事はカエルにより一晩で治った。


 カエル師匠にも分かる、あいつが帰って来たのだと。


「あの馬馬娘!! 明日来るだろうな? ちゃんと躾ねえとな!!」


 フフフと雨頭は不敵な笑みを浮かべていた。


「ハーブティー用意しとかなくちゃ!!」


 黒ゴスロリ少女ティーナも嬉しそうだ。






                  つづく

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