第12話 稽古 にっ!!


何回か避けて思った事は。。


『手加減はされているが、殺しには来てる』


だった。


なんとか回避後に攻めようとか考えてはいたが、まずもって速さが圧倒的に足りない。。


まぁまだ子供の体だからってのはあるが。。

早急に解決すべき課題だな。


で。。今、目の前の男はなんて言った?


遠慮するな。。だと?


今めっちゃピキってますよ。。


でもここで怒りのままのまにまにをしたら、この稽古自体がただの蹂躙になってしまう。


勿論俺がされる側なんだけど。。


さて。。どうしようか。。


と思いながら正面から突っ込んでしまったのは、俺の思考が怒りに支配されているからではない。と信じたい。


瞬間、重なり合う木剣


目を凝らせば、互いの木剣のミリのカケラが飛び散っていた。


ヒビはない。

折れてもない。

えぐれてもない。


ならまだいける。


その後も正面で打ち合う。


互いの木剣が体に触れることはない。


回数を重ねるごとに速く、強くなっていくそれは、次第に子供の限界値を超えていく。


そして、


木剣が弾かれる。


両腕が上がる


硬直


迫り来る切先


眼前に迫り来るそれを目の当たりにして


内側から黒い恐怖が吐き出すように溢れ


それが体を縛りつける


しかし、途端に時間の流れが遅くなる


それと同時にこの世界に来る原因となったあの場面を思い出す。


まるで時が止まったのかのような状況で、流れる走馬灯のような物は、前世の良い思い出ではなく、自分の惨めな最後のシーンだった。


あっけなく


切ない


そして無様な


あんな終わり方は


嫌だ!!!


最後まで何もできなかった自分が嫌だ!!


俺は!!!!


「生きるんだあああああ」


瞬間、硬直していた体を地面を蹴って、バク転をし、迫ってきている木剣を蹴り上げる。


着地と同時に右腕が上がっているガラ空きの体目掛けて突っ込む。


繰り出すのは出が速い刺突攻撃


狙いは急所の喉!!


一撃で決める!!!


繰り出した渾身の刺突


その一撃には、確かに命が乗っていた。


周りの部下達でさえ、少年の突きのタイミングは完璧だと思っていた。


ほんのコンマ数秒後にはこの切先は届く。


誰もがそう思っていた。


しかし。。


圧倒的な強者とは


幾千もの死戦を乗り越えた者は


それすらも超えて生きている。


したがって。。


渋い声が響く。


「フェン君、君は強くなるだろう。だからこの一撃は未来の君への手向に送ろう。なに、さっきの攻撃を退いた君だ、このくらい大丈夫だろう。別に喉を狙われてイラッとしたとか、ガキの癖に手間取らせやがってとかそう言った感情ではなくーー『ドガッ』


急に声が聞こえなくなった


それ同時に頭の右側に激痛が走る


激痛なんてそんな甘いもんじゃない


物理的に割れそな頭の痛みを根性で耐えて視線を動かす。。


あぁ、、


「左がfー


意識が飛んだ。














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