第7話 初めての魔物
森に入ってから数分。
俺と父さんはソレに遭遇した。
赤黒い瞳に、牙を剥き出しや状態からの威嚇の睨み。
さっきほどではないが、それでも8歳の子供が晒されていい殺気でもない。
「グルウウウ」
鋭い目に鋭い牙。そしてナイフのような爪。黒い毛が特徴の狼のような見た目をしているソレは。
「ボアウルフ ランクは最低のEだが、Eランクの中で限りなくDに近い魔物。その牙とその爪の鋭さは驚異だが、最も恐ろしいのは群れ単位で遭遇した時だ。群れ単位の場合その危険性はDランクの中でも中層にまで跳ね上がる。今回ははぐれのようだが、どうする?やれそうか?」
単体でもDに近いEランク。
群れになればD中層域の魔物。。
怖い。。けれどこれでも最低ランク。
最低ランクにここまで臆してたら、お父さんの跡は継げない。。それじゃあダメなんだ!
俺はッッッ!!!!
「。。やります。」
静かに呟く。
そんな俺に父さんは、背中に手を当ててきて
「やってこい。」
短く。一言だけ俺にそう言った。
呼吸を整えながら距離を詰め、俺は右手の木剣を握り直す。
そして数秒の睨み合い。
先に動いたのはボアウルフ。
飛びかかりながら自慢の鉤爪を振るってきた。俺はそれをタイミングよく前方に転がるようにして避け、すぐさま後ろを向く。俺の頭上を超えて後ろに行ったボアウルフが着地と同時にこちらに向き直りまた爪で攻撃してくる。今度はそれをやつの振った右前脚とは逆の左足の方に飛ぶようにして避ける。
着地するとこちらを睨む。
今度は攻めずに様子を伺ってくる。
これ以外に一体後何パターンの攻撃があるのか。しかし気にするべきはそれだけじゃない。体力があとどのくらい保つのか。
正直言って隙が見当たらない。
ただわかったのはコイツは爪に魔力を込めてないって事。攻撃ではなく移動してる時後ろ足に魔力が込められている。
つまりは。。
俺は集中し、木剣と脚に魔力を移動させる。
まだ不完全だけど身体強化擬き。
そして今度は俺が
攻める。
一気に距離を詰めてやつの左後ろ脚に一閃。
「グガァ!!」
感触としては、骨を折ったはずだ。不意をついた事でコイツの魔力操作が間に合ってないのは魔力の流れを見てたから間違いない。
ボアウルフは怒り、飛びかかってくるが先程の速さも勢いもない。
俺は避けずに、
木剣を両手持ちにし、
上段に構える。
そしてやつと視線が重なり、
正面から顔面目掛けて上段斬りを叩き込む。
気配が近くで消えた。
それを確認して俺は座り込む。
崩れ落ちるように。
尻餅。
どうやら腰が抜けたらしい。
これまでの様子を見守っていた父さんが、笑顔になっていた事が嬉しくて、同時に安心した。
これが俺の初めての魔物討伐。
ただここで一つ、8歳にしてEランクの魔物、否、ボアウルフを討伐できるのは、仮に七英傑家の産まれでもそう簡単にはできない。
それが何を意味するのかは、まだ先のお話し。
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