第2話

汚仕事よごれしごとなんてもんは、もう何度もやってきた。男はタバコを吸い、女は心で泣き、そうして黒幕が現れる。ただ、認知は出来ても視覚情報が何もない為、手のうちようがない。

「貴様ガ、ヨウヤク仲間ヲ、持ツトハ……」

そう、仲間。この女が、その証拠である。身体の半分が奇怪に染められ、男と同じ風になっている。この荒廃した終世界デッドワークは黒幕が作り上げた。故に同じ奇怪ちからを持って黒幕を概念ごと破壊する。奇怪というのは、人間が害空気が苦手なように、奇怪は、自然であふれる世界を苦手とする————。


そして「反奇怪部隊」が存在する。数少ない人類、推定100人居れば良い方だろう。


「だから———お前はこれから奇怪として生きろ」

「嫌だ、と言ったら?」

「安心しろ、オレも、オマエも、共犯者だ」


すると、遠くから車の音がする。

「窓突き破って逃げるぞ」

「え、え!?」

パリーン、と男は本当に突き破る。


「目標が逃げた。その場で狙え」

「イエッサ」

スナイパーなど効きやしない。何故なら、

「"空間操作"」

奇怪は人間には、遠く及ばない。

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奇怪境界線 あさのたけし @ggang_745

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