第3話予告

『字幕:「プロジェクトK」第三夜』


(♪波の中の水月(みつき) 潮の中の星河(せいが)♪)


 パソコンのディスプレイ、映し出されるのはクラウドファンディングの募集。そこには巨大な金属の円盤が表示されていた。


『呉に帰還する老機械…その姿を見て、ある考えを形にしようと動き出した男がいた。』


(♪みんなどこへ行った 帽を振られる事もなく♪)


『メーカーからは、断られた。』


 セルフォンを片手に、肩を落とす男性。だが、首を振り無念を払うと、違う連絡先を選択した。


(♪海原の水馬(ケルピー) 峰上の母神(ガイア)♪)


 三人の男性が時計店の中に集まり、熱く議論を交わしていた。身振り手振りで成したい形を作り、伝え合う。


『それぞれの特技が、重なる。』


(♪みんなどこへ行った 身儘で水面に踊る♪)


 金属の円盤、その写真を前に図面を起こす男。型に樹脂を流し込む男。そして。時計の心臓部を手に思案する男。三者三様の姿。


『呉の時計店の挑戦が始まる!』


(♪鯨よ深い海から 教えてよ波間の月を♪)


『「プロジェクトK〜呉の挑戦者たち〜」第三夜「回れ!時刻む、旋盤の時計」ご期待ください。』


 暗闇の中で振り返る呉氏、その視線の先には一筋の光が差し込んでいた。その光の中で、腕時計が、懐中時計が、ガラスの置き時計が、輝きを返していた。


(♪鯨よ波間の月は 今どこにあるのだろう♪(フェードアウト))

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