第8話「愛犬」

ベイクを飼い始めて最初の月曜日

この日は拓馬は日直なので

一足先に登校していた。


「よし!終了」


「よっす!拓馬っち、おっはよー!」


「おはよう拓馬くん」


「二人ともおはよう」


拓馬が日直の仕事が終わったタイミングで

優吾と昌也が来た。


「昌也は今日部活はないのか」


「うん、今日は部活自体休みだよ」

 

「あれ?そういや紗奈たちは」


「トイレに行ってからくるって」


「わかった」


「しかし日直ってめんどくさいよな

朝早く来なくちゃいけないし」


「それはしょうがないよ、

それが仕事だもん」


いつも通りの何気ない会話をすると…


「それより紗奈ちゃんから聞いたぞ

子犬飼い始めたんだって?

可愛くって仕方ないじゃないのか」


と昨日のことを紗奈から聞いた

優吾が質問してきた。


「もう聞いたのか早いな

そうなんだよ子犬だからよ

やんちゃで可愛いぞ」


「すっかり親バカならぬ

犬バカになったな」


「3日しか経ってないけど

可愛くて仕方ないのは確かだな」


「でも確かに子犬って可愛いよね

そういえば名前って確か…」


「ベイクだよ」


と、3人が話してると

遅れて紗奈たちが入って来た。


「拓馬、おはよ」


「お、おはよ」


「しかし拓馬くんが犬を飼い始めるなんて

意外かも

紗奈の真似でもしたの?」


「それ本当なの

そっか犬を飼えば一緒に散歩できるもんね

まってて紗奈ちゃんわたしも飼うから!」


「だめだよ

そんな適当な理由で飼ったら

そう言う人が飼育崩壊とか起すんだから

そしたら可哀想な子が増える一方でしょ」


「それもそうね

わたし間違ってたごめん」


と珍しく紗奈が希美に説教した。


どうやら紗奈は動物については

敏感のようで、

ペットを飼うという事は

命を預かるという事。


自分と同じがいいからと中途半端な理由で

命を預かるということを

紗奈は希美にしてほしくないのだ。


そんな希美は反省しつつも心の中では


(初めて怒られた!嬉しい)


と思っていると…


「希美ちゃん今まさか

怒られて嬉しいって思ったでしょ」


「え!なんでそれを、」


「だんだん考えることがわかって来ただけだよ

少しは反省して!」


「ごめんね紗奈ちゃん」


「大丈夫だよ

わかってくれればそれでいいから」 


「ありがとう紗奈ちゃーん!」


と抱きついた


「もぅー希美ちゃんたら」


と紗奈もだんだん希美の扱いに

慣れて来たようだ。

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