第18話 一号、慣れないことはするもんじゃない。
「うう~~~~~~。」
「なぁ一号、そろそろ威厳(機嫌じゃないぜ)治してくれよ。これから旅の予定についての話するってのにさぁ。」
パジャマ姿をみられたのがそんなに恥ずかしかったのか、リビングに戻ってきてもソファにおいてあったクッションに顔をうずめ脚をバタバタさせる。
「お~い、自分の脚の長さわかってるか。」
そう、こいつは身長が高いがそれにしても脚が長い。だから
「さっきから俺にあたりそうなんですが#」
ソファの端の方に座ってる俺の目の前スレスレまでくる。
「こうなったら、こちょこちょの刑に処す。」
「ぎにゅわあああああああ。ちょ、先輩、やめっ、やめて~~、あひゃひゃひゃひゃ。」
乙女の出す声じゃねえな。まぁ、何はともあれ成敗。
「もうお嫁にいけない。」
そもそも相手が親父さんの審査を突破できないんだからさぁ。
「ったく、バカなこと言ってないでちゃんと座れ。」
およよよと言った感じの一号にピシャっと言いつける。
「はい。」
目に見えてしゅんとする一号。ちょっとかわいそうだから話題でもふるか。
「なぁ、一号は山と海どっちが好きだ?」
一号が答えなくてもわかる。
「わかった海だな。」
なら、ルートはなるべく海沿いにしてやるか。
「ちゃんと、私の答えを聞いて下さいよ。」
聞くまでもねえよ。だって海って聞いたとたんに目がキュピーンってなったんぞ、キュピピーンって。
「どうせ、海だろ。それに、聞いてなくても、僕はお前のことをちゃんと見てるから。」
Bonn。っあ、またか。こいつはキュンキュンしすぎだろ。
「おい、一号。」
無駄だとはわかってるけど揺さぶってみる。
「っは!?」
「おっ、以外と早かったな。」
「えっへん、そりゃもう耐性がついてきましたからね。」
耐性がついたというよりは復帰が早くなってるだけなんだよな。まぁ、あのポンコツの成長は嬉しいけどな。なるほど、親父さんが一号を大事にする気持ちがやっとわかった。成長が嬉しいからな。僕にも芽生えた感情、これが母性か。
「でへへ、なんか今日の先輩は優しいですね。」
「世辞はいいから理由を教えてくれ、何がしたいんだ。」
何か海でしたいことでもあるんだろう。僕がそう思い尋ねると一号は
「そりゃ、海水浴ですよ。」
バッと立ち上がって胸に手を当ててドヤァって効果音がピッタリなムフフ顔で言う。
「馬鹿か、彼氏でもない男と薄着で会うなんてはしたないだろう。」
また、爆発するかなと思って一号の方を見る。しかし、
「え~~、先輩恥ずかしいんですか~。」
なんだ今日は様子が変だぞ!?
「おい一号、体調悪いんじゃないか?」
そう、熱を測ろうと手を一号の額に伸ばすが。スッと交わされ逆に手を掴まれそのまま床に押し倒される。
「先輩、私たちは許嫁ですよ。」
「ああ、そうだな。俺たちは(君と僕の両親が勝手に決めた)許嫁だな。」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。つまりカレカノ以上の関係なんですよ。夫婦と言っても過言ではない。」
「過言だ、バカ。そもそも俺たちはまだ付き合ってもないだろうが。」
言い返されてムッとしたのか、
「無駄口叩くこの口をふさいじゃいます。」
何をとち狂ったのかいきなりキスをしようとしてくる一号。
「一号、いや苺。おお、おっ落ち着けって。」
「先輩の方が落ち着いたほうがいいんじゃないですかー。」
今は何とか顔を抑えて抵抗しているが純粋な力は一号の方が上なのだ。このままじゃ時間の問題だ。僕のファーストキスをこんなロマンチックのかけらもないとこで散らしてたまるか。ラッキースケベだなんだは僕の求めるものじゃないんだ。
「親父さ~ん、HELP ME!」
耐えるんだ僕の上腕二頭筋。早く助けに来て親父さん、
「おい、苺。パパはどうかと思うぞ。自分からアタックするんじゃなくて苺はかわいいんだから廻くんを誘惑するべきだろう?」
親父さんは相変わらず親バカというかバカ親というか
「お、お父さん!?えっと、それはそのー。」
ま、ともかく立場逆転、ありがとう親父さん、いや親父様。そして、親父さんの手元を見てみると
「『気になるあの子を自分のものにする方法。~クール&ワイルドで
ははーん、なるほどな。今日の行動はこれを参考にしていたんだな。
「って、誰が女だよ(#^ω^)。」
「だって、私の女友達が貸してくれたのがこれだったんだもん。」
「とりあえず親父さん、今から苺にお仕置きをするので二人にさせてもらっても良いですか?」
「あぁ、そうだね、若い二人で楽しんで。」
「ええ、ありがとうございます。」
「っちょ、お父さん娘を見捨てるの。」
「何、廻くんは後先考えないそんじょそこらの野獣とは違うんだ。大丈夫さ。」
「な!?私よりもお父さんから信用されてるっていうの。」
まぁ、苺の親父さんの扱いはひどかったからな。信用はないだろうな。
ガチャンと親父さんがリビングから出ていき、
「っきゃ、」
一号の一瞬の隙をつき両手を外側に押し出し体制を崩し、今度は僕が一号にマウントをとって
「さあ、たっぷりかわいがってやろうか。」
覚悟しろよな、手加減はしないぜ。
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