第17話 花村家訪問

お義父さん、じゃなかった親父さんとの会話を終え、


「苺なら二階の自室でまだ寝ているだろう。


起こしに行くといい。


あとこれだけは注意してくれ、


避妊は必ずするんだぞ。」


あれれ~?親父さんはまともだってしんじてたのにな。


「まぁ、そう言うのだったら行ってきます。


いかがわしいことはしませんが。」


僕は階段を上り、起こさないように忍び足で一号のもとへ向かう。


「抜き足差し足忍び足」


扉の前に立ち、緊張が走る。


「ふーっ」


と深呼吸。静かにドアノブを掴み、音を出さないように細心の注意をはらい捻る。


「ぐぴ~、すぴょ~」


起こさなかったようだ。


ベッドの上で腹丸出しで、なんとも間抜けないびきを立てる一号がいた。


仕返しはもう済んでいるが、この顔を見るとイタズラしたくなる。


親父さんにはああ言ったものの、


苺に興味がないわけではない。


別にツンデレというわけではないが


一号のことなんか好きじゃないんだからねヽ(`Д´)ノ。


っと茶番はこの辺にして、


ウェットティッシュで指を湿らせて、


人差し指を第二関節でまげて


苺のほっぺにくっつける。すると、


「ひ、ひにゃー!!」


一号が(文字通り)飛び起きました。


うしっ。大成功。


「先輩。今、私の頬にキスしましたね!?」


わなわなと、生まれたての小鹿のように震えてる一号がカワイイ。


「んっんっ。」


形をそのままにした指とウェットティッシュをみせる。


頬っぺたを膨らませた一号が近づいてきて


「ぼこぼこぼこどこどこどご」


本人はかわいく胸をポコポコしてるつもりなんだろうが思い出してほしい。


僕よりも一号の方が体格的には上だ。


よってその拳が当たるのは


「痛い痛い。イタズラしたのは謝るからさ。


顔面殴るのやめてよー。」


それに高身長というのもあいまって 拳にのる遠心力が半端ない。


顔は目の前にある。手を伸ばせばすぐ届く。


「ふにっ!」


頬を両手で挟み込む。


「むににー!!」


「いったん落ち着けって。」


落ち着いたようで、殴るのをやめて目を合わせてきた。


「パンケーキ。」


「???」


「パンケーキが食べたい。駅前のヤツ。」


そう言ってチラシを突き出してきた。


訂正、まだ怒ってはいるらしい。


一号の頬に当てていた手を次は僕の額にあてることになるとはね。


「はいはい、わかったよ。僕のおごりだ。


下でまってるから着替えてきてね。」


「////」


今更パジャマ姿であることに気づいた一号。


飛んでくるヘアブラシ(幸いシリコン製)。


ひょいっと躱し部屋を出る。


「出てけー。」


「もう出てるよ。」


一号の怒号を背に僕は再び一回に戻る。

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