第14話 どんちゃん騒ぎに流血はつきもの

神社に到着。


会場は賑わっていた。


小学生ぐらいの少年たちが屋台で射的の腕を競っている。


近隣のお年寄りは祭りの雰囲気と子供たちの楽しそうにする姿に、


在りし日の自分たちを重ね、その瞳は優しかった。


あとは、初々しいカップルが数組いるぐらいだ。


僕はこの町の祭りの雰囲気が好きだと思う。


「一号、ちょっとお願いしても良いかい?」


奥の混雑している屋台を指さして言う。


あくまでも平静を装って、自然に。


「あっちの屋台で焼きそばとたこ焼き、


あとはリンゴ飴でも買ってきてくれないか?」


樋口さんを握らせ一号の背中を押す。


「もう、仕方ない先輩ですなぁ。


食いしん坊さんなんですね。


わーかーりーまーしーたー。


あなたのカワイイ後輩が買ってきてあげますよ。」


振り向いて下手くそなウィンクをして言う一号。


そのまま人波に紛れこっちからは直視できなくなった。


一号の気配も遠のき、僕は指をぽきぽき鳴らしながら神社の屋台のない方へと進む。



「ストーキングご苦労さん、プリン頭くん。」


木の陰から顔をのぞかせる昼間のプリン。


「兄貴やっちゃってください。」


とその後ろから湧いて出るガラの悪い連中ども。20人ぐらいか。


その中でも兄貴と呼ばれている奴はけしからん胸(筋)をしていて、


いかにもガキ大将といった風貌だった。


「おいおい、世紀末かよ。俺の胸に北斗七星の傷跡はねえぞ。」


何も言わずに俺を取り囲む野郎ども。


「お前がプリンをやったのか。」


やっと口を開いたと思ったら、


コイツ、ボスにさえプリン呼びされてやがる。


「ぶふっ。」


うん、吹いた。仕方ねえ、僕の腹筋は特別な訓練うけてねえから。


「そうだが、それがなんだ?」


「やれ。」


いきなりの戦闘開始かよ。やだなぁ。


服が汚れちまうじゃねえか。


「はぁ、さっさとかかって来いよ。


こっちは時間がないんでな。」


そうして僕対不良どもとの喧嘩が始まった。



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