第13話 間の悪い花火

「・・ぱい。せんぱーい。先輩起きてください。」


ふぁっ!?僕としたことが寝てしまっていた。


まぁ、そもそも今日は寝不足だったのに、ハプニングの連続だったんだから当然ではある。


「やーっと起きましたね。まったくこっちの気も知らずに。」


ぷんぷん。って風を装っているが、僕は聞き逃さなかったぞ。


『あぶなかった、もう少しで先輩を襲うところだった。』ってな。


「へ~。どんな気だったんだい?


まさか、寝首を掻っ切るつもりだったのかい?」


よし、いつものこいつなら自爆するはずだ。


「まっさかー。大好きな人の寝首を掻っ切るわけないじゃないですか。


私はただ、寝込みを襲いそうになっていただけですよ。


・・・・・っは!?口が勝手に。


じゃなくて、やだなぁ、冗談ですよ。冗談・・・。」


今日のコイツはいつも以上にダメダメだな。


「っと、もう夜か。悪いな、寝ちゃったみたいで。」


夏祭りは時間的に直行で丁度いいぐらいか予定は狂ったが許容範囲ないだろう。


「なあ」

「あの」


「先輩先にどうぞ。」


ん?今日はやけに乙女っぽいな。こいつ。


そんなことはさておき。


「今日って確か夏祭りだったよな。


良かったら一緒に行くか?


おばさんには10:00までに娘さんを返しますからって


言ってるから大丈夫だとは思うが。どうしたい?」


すると、今度はおもちゃを前にした子供みたいに目を輝かせて、


「良いんですか!!お祭りデート。」


「ああ。」


・・・・


「ああ?今なんつった?」


「お祭りデートって言いましたがそれが?」


ったくこいつは、


「まったく、付き合ってもない男に対してそんなこというんじゃねえよ。」


その時、祭りの開始を知らせる花火が一発、夜に咲く。


そのせいで、当時の僕には聞こえなかった。


『いまだ付き合えていないからですよ。』って。


そのまま、僕らは浴衣に着替えるでもなく夏祭りの会場、


星降り神社へと向かった。

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