第12話 なんでこいつがモテるんだ。
駐車場を一周、蛇行運転も、徐行マスターし、
すっかり乗りこなし、爽やかな笑顔を向け
「よし。先輩、私もう自転車乗れるようになりましたよ。」
と報告してくる。
ったく、これだからこいつは男よりも女に告白されるんだよ。
ファンクラブも出来てるし、こいつはよぉ。
ちなみに僕もそのファンクラブに所属している。
(初期メンバーだ。)
もちろん、あいつのことが好きとかじゃなくて、
ファンどもが暴走してあいつに迷惑をかけないように見張りとしてだ。
と長めの回想をしていると。
「先輩大丈夫ですか?
熱中症ですか?ちゃんと水分とってください。
はい、ポカリです。」
ボゴフ。ゴボゴボ.。o○。
「ちょ、おま」
ボゴフ。ゴボゴボ.。o○。
ペットボトルが空になってやっと止まった。
「あのなぁ。お前はすうぐ人の話を聞かなくなるから…」
って。こいつの方が真っ赤じゃねえか。
プシューって感じだぞ。
僕よりも動いてるし、熱中症なのはこいつの方なんじゃ。
なのに、自分の飲み物を惜しげもなく僕に飲ませやがって。
「説教は後だ。」
自転車のスタンドをたたせ、
一号を抱え上げ日陰まで運ぶ。
「これで多少はマシになったか?」
っと思ったらむしろ熱くなっていた。
「先輩、恥ずかしいです。
こっち見ないでください。顔がふやけちゃってます~。」
ったく、心配して損した。
そうして、そのまま眠ってしまった一号。
残された僕は一人涼みながら、
たまに、風で乱れた一号の髪を直してやって
一号が起きるまで久しぶりのゆったりとした時間を過ごす。
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