第11話 そうだ、そうだ、やっぱ、お前はそういうやつだったな。

なんとか人込みを抜け、自転車を回収し、公園へと向かう僕ら。


「先輩さっきはなんであんなことしたんですか。


恥ずかしかったんですよ。」


セミだけでもうるせえってのに、


このアホの質問まで耳に入ってくる。


「チンピラに絡まれる少女、それを颯爽と助ける少年。」


「だから、なんなんですか(# ゚Д゚)。」


いちいち話を止めてくる。


「説明してやってるんだから最後まで聞け。」


「はーい。」


(´・ω・`)って顔してるけどこっちが(´・ω・`)だよ。まったく


「写真撮られる。出回る。デジタルタトゥーの出来上がり。


理解したか。」


「そうだったんですね。


だから、顔を覆うなんて人さらいのようなことを。」


悪気はないだろうが、


こいつはホントに人を怒らせるのが得意らしい。


とまぁ、なんだかんだで公園に着いた。


今日は夏祭りがあるので人はそっちの方に行き、


この公園はガラガラにすいている。


計画通り( ・´ー・`)。


早速、駐車場の方に移動して、


「今日は、お前が自転車に乗れるようになるまで帰らせないからな。」


先に、宣言しておこう。


そうすれば危機感から上達も早まるだろう。


「無茶ですよ先輩。いくら私と言えどそんな一日でだなんて」



出来ました。こいつサラッと乗れるようになっちゃいました。


走り出しも、コーナリングも、手記号も全部。


たった一時間で、初心者が。


『うぇーん先輩擦りむいちゃいました。』っていうのを想定して、


救急箱に入ってるもん一式持ってきたのに、


一度も転ぶことなく乗れるようになっちゃった。


なんなんこいつ。まあ、それでも


「先輩、どうです。乗れるようになりましたよ。エッヘン。」


こいつが無邪気に笑うもんだからなんも言えねえ。


「そうだ、そうだ、やっぱ、お前はそういうやつだったな。」


これにて練習終了、このあとなにすっかな。

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