第9話 練習はランチの後で

 「ぐううううっう。」


自転車、ロック、メンテナンス用具、タイヤの替えを購入し、もろもろの保険加入を終えると12:00を過ぎていた。


だから、一号のお腹が鳴るのは当然で、そこまで恥ずかしがる必要はないのだが、


恥ずかしがらなくて良いぞというと『聞こえてた』ってさらに恥ずかしがる。


だから、ここでのベストアンサーは


「どっか飯でも行くか?奢るぞ。」


聞こえなかったふりをして、空腹を解消してやることだろう。


「いいんですか?」


ふぅ、どうやら立ち直ったらしい。


「あぁ、今日は僕のおごりだ。」


「ゴチになります、先輩。」


今日は多めに持ってきてるから大丈夫だろう。


そもそも僕に一緒に遊ぶような友達はいないから自然と貯まる。


「何か食べたいものある?」


「焼肉が良いです。焼肉食べ放題。」


こいつ、ここぞとばかりに高そうなものを。


だが、男に二言はねぇ。もってくれよ俺の財布。


「OK。練習はお昼食べてからだから、焼肉店までは押してい行こうか。」


再び僕らは歩く。炎天下の下。


今度は焼肉を求めて。



お店に着いたとき12:30だった。


ランチタイムのラストオーダーは13:30まで、時間は一時間なので十分に楽しめそうだ。


平日のランチタイムだったおかげで樋口一枚で野口が一枚帰ってきた。


支払いを終え、席に案内されて、座る。


店内はジューシーな肉の匂いと焼ける音、加えて今日はたくさん歩いた。


なので当然


「「ぐー。ぐぐっ。」」


二人とも腹ペコだ。


「早速、頼んじゃいましょう先輩。」


「おう、好きなもの頼みな。


大丈夫、いくら大食いだろうが僕はきにしない。


それに、話す相手もいないしな。ははは…」


「先輩・・・」


おっと気を使わせてしまったようだ。


「まぁ、僕にはお前がいるからいいんだけどな。」


「よし、早く食おうぜ。」


一号の頬がほんの少し赤くなっていた気がする。


ただ、自分でも恥ずかしいことを言った自覚はあるので黙っておいた。


恥ずかしいのは一号も同じようだ。


僕はひたすら肉を焼いた。


一号はひたすらに食べた。


黙々とモグモグと。


かなりのペースで食べ続けたので一時間を待たずして


僕らは焼肉店を出た。

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