第4話 ミットモナイトワラウオバサン
「あはははは。バッカじゃないの。ちょっと面白すぎるわあなたたち。あー、みっともない。ぷぷぷ。」
激戦の末に熱々のアスファルトの上に突っ伏す、隣の家の息子と二十年近く連れ添ってきた旦那、微動だにせず虚空を見つめる愛娘、それを目撃したおばさんの発言がこれだ。
信じられるか?僕はともかく娘と旦那の心配ぐらい普通はするもんだろう。頭を打った時以上の衝撃だぞ、これは。
そして、おばさんはひとしきり笑ったあと、
「あー面白かった。それであなたたちは何をしていたの。」
多少息があがり、夏の暑さと笑いすぎによって多少赤い顔で、まだ笑いが抜けきっていないような様子で
「とりあえず家に上がりましょうか。」
そうすぐ目の前の家に手招きするおばさん。
僕と一号の二人はリビングに案内され、膝ぐらいの高さのテーブルを間に挟んでソファーに座る。
ちなみに親父さんは持病のギックリ腰が再発したらしく、僕らがリビングにとおされる際、一人寝室へ向かっていった。
そんな状況だというのに『何か冷たい飲み物でも買ってくるわね。』と言って再びが外出中のおばさんを二人で待っているのが現状だ。
そして、あの悶着のあと互いに何を言ったらいいのわからず黙りこくっている。
「・・・・・・・・。」
そして、喋る人がいないこの部屋には、話し声の代わりにじいーじいーと電家製品(主に冷蔵庫)の音だけが響く。
居心地が悪い。なので話かけようとした。沈黙から逃げるように前へと身を乗り出して。
だが、それがいけなかった
「「あの」」
ゴチン。
「「イッター!!」」
二人まったく同じタイミングで身を乗り出し正面衝突。
本日二度目、お星さまが螺旋をえがきパッと消えるのを見届け、僕の視界は真っ暗に。
「先輩、先輩、せんぱーい。」
一号の叫びもむなしく、むしろ追い打ちとなり僕の意識は落ちていく。
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