15 マリアンの手伝い
「カリン様、私、四つ葉会選挙で書紀に立候補しようと思います」
悪者三人組が揃った朝の教室でマリアンが宣言した。
立候補?
そんな話は聞いてない。イレギュラーな僕のせいでやっぱり生徒会選挙も変わってくるのか? それともいちいち言う程のことではないとヤンに端折られたか。
しかしマリアンとは意外だ。この人、本当はいろいろデキる人でカーリンの腰巾着なんかしてていい人じゃないんじゃないか?
「皆様に尽くそうとなさるその御心、素晴らしいですわ、マリアン様」
そこまで感動することかなとは思うけどボエルは目をキラキラさせている。
「本当は今の四つ葉会の皆様の下で尽くしたかったのですが」
「マリアン様はお体の調子がよろしければ本来はレイフ様と同じ学年ですものね」
え!? この人年上だったのか。
「マリアン様ならきっと当選なさると思います。応援いたします」
なんの根拠もないけどこういうのってそう対抗馬はいないんじゃないだろうか。なり手不足はどの世界もきっと一緒だろう。うちの学校だって無理やりクラスから候補を出させる方式だ。
「ありがとうございます。カリン様なら背中を押してくださると思っておりました」
どういう意味で言ってるのだろう。生徒会から牛耳ればいいって感じなのかな。
「それでぜひカリン様に応援演説をお願いしたくて」
マリアンは深々と頭を下げた。
「え? ええ、私でよろしければ……」
応援演説があるなんてちゃんとしてるんだな。令嬢令息の人たちは選挙なんかどうでもよくてお遊び程度に行われるものなのかと思ってたのに。
僕としてはボエルに頼んでほしいところだ。あまり目立ちたくないし、マリアンのこともよく知らないし。知りもしない人柄を説くのは嘘くさくなりそうで避けたいところだ。
それでもここで断るのもボスとして悪い気がする。カーリンは断らないだろう。意気揚々と当選させてやる、なんて言いそうだ。
最後の最後に大舞台が用意されてたとは……推薦されないだけマシか。
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