第44話 もうひとりの真経穴使い
「ムウさん、ちょっと街まで出かけませんか?」
とマーレに誘われて、街へ繰り出すことになってしまった。
面倒くさいけど、荷物持ちとして動向してほしいんだと。
暇していたし、別にいいけど。
「ギルドの活動はいつ再開するの?」
「ドラゴリオンさんが、キューネさんの状態をみて判断するそうです」
「そっか」
適当に街をブラブラ歩く。
いったいマーレはどこでなにを買いたいのだろう。
などと思考にふけっていると、
「やあ、お嬢さん」
若い男が近づいてきた。
金髪で、自分より少し年が上くらいだ。
なんだかムカつくツラをしているけど。
「お嬢さん、俺と遊ぼうぜ」
「わ、私ですか!?」
なんだ、ナンパか。
「え、こ、困ります」
「いいじゃん。俺についてこいよ。じゃないと……うーん、殴ったり蹴ったりする」
「ひえ〜!! ム、ムウさん助けてください!!」
なんだこいつ。
ナンパのくせにヤケにテンション低いな。
「あーん? お前彼氏か?」
「別に」
「その子は俺と遊ぶから、お前は引っ込んでろよ」
「悪いけど、そういうわけにもいかない」
「じゃあ、力づくで奪うしかないな」
「はぁ、まったく」
テンション低い割には、性格はランドみたいだ。
どいつもこいつも血気盛んだな、くだらない。
「来いよ、彼氏くん」
「しょうがない」
ササッと懐に入り、胸の真経穴をーー。
「遅い」
「え」
手を弾かれて、逆に胸の真経穴を突かれてしまった。
力は込められていない。それに、少し胸が苦しくなる程度の弱い経穴だ。
でも、こいつ、なんで。
まぐれなんてありえない。不可能だ。
「ど、どうして……」
「本気で来いよ、彼氏くん」
「……」
「来いよ」
「っ!!」
呼吸を止める。
オーガの力を解放する!!
体はもう充分に回復しているし、平気なはずだ。
高速で間合いを詰めて、今度こそーー。
「だから、甘いんだよ」
また弾かれた。
でも、まだ!!
両手、両足を駆使する。
フェイントも入れて、テンポをズラす。
なのに、全部弾かれる。
攻撃が当たらない!!
「くっ!!」
ようやく突けた。
腹にある真経穴。
これで全身が硬直するはず。
なのに、
「ま、こんなもんか」
金髪が、一息ついた。
何事もなかったかのように、ピンピンしてる。
ありえない。
ありえないありえないありえない。
まさかスキルか!?
「少し、真経穴をズラした」
こいつ、何者だ!!
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