久里 琳さま
こんにちは。
お母さん、お借りしたことを忘れ去っていたわけではないようですから、返却する機会は生前いくらでもあったでしょう。それなのに自分で返せなかったとは、一体どんな複雑怪奇な事情が? とわくわくしながら拝読しはじめました。
荒唐無稽? ある組織? ふふふ、でたでた!
ん? この人、あくまで礼儀正しく自分と女性のお母さまの過去を語っていますが、これ、組織の内情リークでは? と心配になっていたら、ああ、なるほど、もはや消されるものと決まり、覚悟も決まっているのですね。
ん? でもこの返信で事情を知らせてしまえば、その女性にも影響が及ぶのでは?……ああ、返信者でなく娘の母がすでに巻き込んでいることになるわけですね。
そして男はそんな昔の「女」の意思をいまでも何より尊重してしまうのですね。彼以外、だれも幸せになることのない、深く、エゴにまみれた思いやり。でもいくつになろうと、人間ってそんなものかなと思わされたのでした。
今まで以上に複雑で深淵なるストーリーを読んだ気がいたします。ん? と疑問を感じた次の瞬間にすっと回答が差し出されるような、読み手と書き手の絶妙な掛け合いを楽しませていただき、いま、不思議な気分に浸っています。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
生前に返そうとしなかったのは何故? と思いますよね。娘の奏も疑問に思って、事情を尋ねるわけですが、、そこに落とし穴が――しかも実の母が仕掛けた落とし穴が待っていました。
分かっていて乗っかる男も男ですね。彼以外、だれも幸せなることのないエゴにまみれた思いやり、、まさに! 人間にはそんな一面もあるんだと、私も思います。
次々湧きおこる疑問にどう答えてどんな結末を迎えるか、いろいろ考えるのが楽しい回でした。
読み手と書き手の絶妙な掛け合い、そのためには読み手と書き手の波長が嚙み合うことが必須条件ですから、その相手として認めていただいて、うれしいです。
久里 琳様
『和顔愛語』の掛け軸は暗殺宣告!
これは恐ろしいですね。
エゴという言葉に納得です。どんなに綺麗な言葉を並べても、人はやっぱり無意識に自分の望む方へと動いていくものですよね。奏を巻き込みたくないという気持ちに嘘はなくとも、実際は巻き込まざるおえないと何処かで思っている。『人間』の愚かさと複雑さを感じさせる見事な返信をありがとうございました。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
せっかくしっとりいいお話になりそうなトスを上げていただいたのに、、恐ろしい暗殺宣告にしてしまって申し訳ありません(^_^;)
綺麗な言葉を並べていても、無意識に自分の望む方へ、、悲しいですが、人にはそんな本能があるような気がします。人間の愚かさと複雑さ、ですね。
こんなパターンもお楽しみいただけましたなら幸いです!
真相を伝えるかどうかの選択を藤野に突きつけたお母様の、深い憎しみと復讐心を感じます。相手はかつて愛し合った女性の、そして死に追いやった男の娘ですもんね……その決断の苦しみも与えたかったのかな、と。
藤野も藤野で、「貴方まで巻き込むのは正しいと思えない」なんて言いながらも、巻き込まれるのを承知でしっかりバラしているあたり、お母様に恨みを持っているのでは? と邪推してしまいました。この二人、おそらく綺麗な別れ方じゃなかったんじゃないかな〜、なんて。かつての二人の間に何があったのか、色々と想像しちゃいますね、えへへ。
>貴方がどの道を選ばれるにせよ、貴方の未来に幸多かることを勝手ながらお祈りいたします。
お前が言うな! って思いました(笑)
作者からの返信
応援ありがとうございます!
深い憎しみと復讐心、、死の宣告だけでなく決断の苦しみも与えてやろうというあたりに、根の深さを感じますね。
男は男の方で、けっきょく娘さんの方まで巻き込むのも辞さずにバラしちゃって・・・このふたり、似た者同士ですね。ほんとに、なにがあったんでしょうか(^^;)
娘さんのピンチもまるで他人事で、まったく、お前が言うな!だと思います・・・あーあ(^_^)
編集済
今、頭を悩まし続けているテーマにばっちり嵌まり込むテーマだったため、食い入るように読んでしまいましたっ
語ること、語らぬこと。物語ること、読み解くこと。自我という函をどうしたらよいのかと悩む。その函の中にて、常常。
そしてまた。この物語の終わりが、読み手による物語の始まりにならんとしていて。函の中身が函へと侵食していく。その蠢動を感じるあたりがひやりとしますね!面白かったですっ!
作者からの返信
応援ありがとうございます!
語られぬこと、語り得ぬことのなかにほんとの大事なことが隠されているような気がしますね。このお手紙が呪文堂さんの探究にすこしでも益になりましたら幸いです。
物語の終わりが物語の始まりになる、函の主客が互いを侵す、、そんな蠢動を感じられるのがさすがです!