第14話 実家で

「ただいまー」


カズヤが自宅の鍵を開ける。

柔軟剤だろうか。カズヤの服と同じ香りがする。


靴を脱ぎ、丁寧に向きを変えて置き直した。

「お邪魔します」


カズヤは先に居間の方へ向かった。

「彼女連れてきた。悠介帰ってる?」

「上にいるわよ。」


「アイカー?」


彼氏の親に会うなんて初めてだ。

私は少し緊張しながらも居間へ入った。


「こんにちは、はじめまして。井澤藍華いざわあいかです。和哉さんと同じ職場で働いています。よろしくお願いします。」

私はペコリと頭を下げた。



カズヤのお母さんは、案の定人見知りな様子で、少し引きつったような微妙な笑顔を浮かべながら

「こんにちは、和哉のこと、よろしくね。」

とだけ言って、台所へ向き直った。



カズヤは階段をあがり、2階を上がってすぐの部屋のドアをノックした。

「ゆーすけ、にーちゃんの彼女〜。」

「えっ!?」


中から驚いた声がして、すぐにドアが開いた。

少しカズヤの面影のある坊主頭の少年が、嬉しそうにこちらを見た。


「あっ、こんにちは!悠介ゆうすけです。よろしくお願いします!」


カズヤから私のことを色々聞いているのだろうか。悠介は妙に嬉しそうだ。


「悠介くん、アイカお姉ちゃんです。よろしくね!お兄ちゃん、普段優しい??」

私は悠介くんと距離を縮めようと、ちょっといじわるな質問を投げかける。



「え?全っ然。おやつわけてくんないし、キャッチボールしてても俺が落とすとすぐ文句言うし。ゲームしてても俺が勝ったらすぐ機嫌悪くなるし、それに…」



出てくる出てくる。

私は思わず笑ってしまった。



「おぃコラ悠介!!あとで承知しねぇぞ!!」

カズヤは笑いながら悠介くんの頭を腕で抱えた。




2人のやりとりが可愛くて微笑ましくなった。




カズヤの部屋は、悠介くんの部屋から右に行った奥の突き当たりの部屋だ。


部屋の中は、思ったよりもシンプルで整理整頓されていた。

コレクションなのか、タバコの箱やゲーセンでとったマスコットが綺麗に並べられている。


「カズヤ、意外と几帳面なんだね。」

自己管理が苦手そうだからわりとルーズなタイプかと思っていたが、そうでもないようだ。



「暇だな。ゲームでもする?」

「いいよ。」



私たちはしばらくレースゲームやアクションゲームで遊んだ。



「明日さ、近くにばーちゃんちあるから、ばーちゃんとこ寄ってからアイカん家に送ってくよ。」

「え…うん。」


ばーちゃんにまで会わせてくれるつもりなのか。


カズヤの親は小さい頃から共働きだったので、カズヤはばーちゃんっ子だ。

休日も、よくばーちゃんのおつかいを頼まれたり、ばーちゃんとごはん食べたりしていると聞いている。


嬉しい反面、「送っていく」って言葉がなんだかひっかかって、ちょっと寂しくなった。



もっと一緒にいたい。

カズヤも一人暮らしだったらいいのに。



「アイカ、そろそろ寝よ?」

カズヤがベッドから私を呼ぶ。


「うん…」

私は静かに布団に入った。


なんとなく恥ずかしくて背を向けた私を、カズヤが後ろから抱いた。


ブラジャーのホックを外し、カーディガンの中に手を入れたカズヤが、優しく胸を揉む。


「ねぇ…この部屋の下、居間だよね?今日はやめとこ?」

私はカズヤに身を委ねたまま、小声で囁く。


「アイカが声出さなければ大丈夫じゃない?俺もゆっくりするから。」


「ダメだって。悠介くん…の部屋も近い…し…」


カズヤは私の耳に吐息を吹きかけながら、私の中をトロトロにしていく。

「アイカ…こういうの、興奮しない?」

固くなったモノが、太腿の間に割り込んできた。カズヤが動くたびに、それが入り口に擦れる。



私は手で口を塞ぎながら、溢れ出そうな声を抑えるのに必死だった。








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