第10話 ゆうべはおたのしみでしたね

アラームの音で目が覚めた。


今日は私は土曜出勤の代休、カズヤは送迎があるので早番だ。


「カズヤ、起きて。早番だよ。」

「ふぁ〜。眠っ。」

大きなあくびをしてカズヤが起き上がる。


「お弁当、作ってあげよっか?」

私はニヤける。

「作ってほしいけど、休憩室で広げるの無理っす…」

カズヤは照れくさそうに笑った。

「お母さんに作ってもらったとか言えばいいじゃん。」

「それは別の意味で嫌だ。」



準備するカズヤを横目に、私は制服を洗濯機に入れた。

昨日の記憶が蘇る。



…ヤバい。制服がエロいものに見えてくる。




いやいや、大丈夫か?私。




気を取り直して洗濯機を回す。

今日は暇だな。洗濯終わったらショッピングモールでもブラブラしてくるか。




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平日の朝はお店が空いていて良い。

いつもは人でごった返しているショッピングモールも、ガラガラだ。



夕飯は何にしようかと食品売り場をうろうろしていたら、聞き覚えのある声がした。



「アイカ!」



振り返ると、大学の時の友達、莉央りおがいた。

莉央と私は偶然職場が近くにあり、同時期に一人暮らしを始めたご近所さんでもある。

この区にきてからも、莉央の家で2回ほど遊んだ。



「莉央!奇遇だね!今日休み?」


「うん、休み!ちょっと、せっかくだからランチでもいこうよ!」


「いいね!じゃあ、買い物はあとからにしよう。」



私達は2階のイタリアンレストランに入った。


「アイカ、仕事はどう?順調?」


「うん、まあね。莉央はどうなの?」


「やりがいもあるし、大変だけど楽しいよ!」


須貝すがいくんとは、相変わらず連絡とってる?」



須貝くんは、莉央の元カレである。大学の間、莉央と須貝くんは、くっついたり離れたりを何度も繰り返していた。



「最近は忙しいしあんま連絡もとってないよ。家も遠くなったし、そろそろ新しい彼氏探そうかなーって。アイカは最近どうなの?」

莉央は楽しそうに聞いてくる。恋愛体質の莉央は、恋バナが大好きだ。


「ふふーん。うち!彼氏できたさぁ!!」



「うっそ!マジ!?いいなぁ。どんな人!?写真ある??プリクラある!??」

莉央はやや興奮気味にまくし立てる。




私はちょっとニヤけながら、スマホの裏に貼ったプリクラを莉央に見せた。



莉央は一瞬静かになって、首を傾げた。

「あれ?なんかどっかで見たことあるなぁ。なんて名前??」



「カズヤ」



「苗字は?」



成瀬和哉なるせかずや




「あっ!!カズヤね!!!カズヤ!!うわぁ、思い出した!!うち、高校一緒だわ!!」






「え、マジで!?」







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