第15話 帰還報告

あの後、朱兎


「「隊長、ただいま帰還いたしました。」」


先輩と俺、二人とも無事任務を達成し、


これより報告会が始まる。


「ご苦労であった。まずは憶人から報告を頼む。」


げっ。俺からかよ。


「はい。まぁ報告といっても大したことはありませんでした。


予想外だったのは神林 瞳とも手合わせができたぐらいですかね。


報告は以上です。」


「そうか、ご苦労だった。」


ふぅ、なんともなくてよかった。


「次は朱兎、報告を。」


白夜さんの声音的になにか重大なことのような気がする。


「はっ。」


先輩が手にもった封筒から書類を出して


「これが今回の潜入任務で得た資料です。」


そういってフィクションのマッドサイエンティストの実験室みたいな写真を机に広げた。


白夜さんの手の甲に血管が浮かぶ。


それだけ憤っているのだろう。


「朱兎、憶人。ワシは今、冷静ではないと思う。


だから、お前たちの意見を聞いておきたい。」


空気がぴりつく。


無意識なのだろうが、リソースが漏れている。


「二人にこれからについて話す。」


白夜さんは席を立ち手招きをする。


俺らは奥の書斎に案内された。



「はじめに言っておこう。


もうじき戦争が始まる。


赤の革命軍が今の政府を叩き潰すそうだ。」


「赤の革命軍って何ですか。


何とかしなくちゃ。壊滅させますか。」


先輩の手が肩に乗る。


「やめとけ。お前には無理だ。」


納得がいかない。俺には無理でも


「俺には無理でも二人ならできるんじゃないんですか。


ねえ、白夜さん。」


その返答は俺の予想を裏切る衝撃的なものだった。


「我々治安維持隊は赤の革命軍とは戦わない。」


「ウソだろ。」


戦争をとめられないのか?


急に先輩に両肩を掴まれた。


「いいか、よく聞け憶人。


赤の革命軍は政府よりもマシな組織だ。


あっちの目的はさっき見せただろ。


政府の暗部を消し去ることだけだ。


それだけなんだよ。」


取り乱す俺を見かねた白夜さん


「憶人に黙っていたのは申し訳ない。


混乱させてしまったな。ワシの落ち度だ。


だが、安全はワシが保証する。」


申し訳なさと、安心、それで冷静になった頭でもう一度考えてみる。


白夜さんは元政府の人間、組織の目的を先輩も知っている、


「一つ質問させてください。」


「ああ、かまわんよ。」


「その革命軍のメンバーに神林 瞳がいますね。」


微笑む白夜さん


「よし、頭は冷えたな。正解だ。


瞳は革命軍の参謀を務めている。


研究施設の場所がわかったのも瞳の能力のおかげだ。


ただ、物証にならないから朱兎に取りに行かせた。」


なるほど、


「それじゃ・・・

「それで隊長、オレらはどう動けばいい?」


先輩にセリフ取られた。


「治安維持隊は・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る